「夜明け前のうた」上映開始

 映画「夜明け前のうた」の上映がはじまりました。
 友人の原義和さんがつくった、沖縄の「私宅監置」の映画です。
 沖縄に精神科病棟がなかったころ、多くの精神障害者は自宅の小屋に監禁されていました。その記録を掘り起こすところから、この映画ははじまっています。

 私宅監置は1970年代になくなりましたが、世間に「迷惑をかける人」を排除し、施設に閉じこめておくのはいまの世にもつながる話です。映画のほんとうのテーマは、こころのなかの私宅監置です。

上映館(K’s cinema ビルの3階)

 この映画については、編集が終わった段階と試写会のあとでもこのサイトでも紹介しました(12月12日、1月13日)。それがこんどは新宿の「ケイズシネマ K’s cinema」で上映がはじまったので、きのうぼくはあらためて映画館まで見に行きました。

 あいにく東京は朝からかなりの雨と風、これでは客足が落ちると心配したのですが、10時という早い時間にもかかわらず客席は半分以上埋まっていました。こういう“社会派映画”にしてはいい出足です。

「夜明け前のうた」ポスター

 いくつかの新聞が「夜明け前のうた」を記事にしました。朝日新聞は12日(大阪版では17日)夕刊1面で報じています。それもただ映画を紹介するのではなく、「私宅監置」にまつわるエピソードを取材し伝えていました。毎日新聞や沖縄タイムスも書いたので、新聞を読んで来た人も多かったでしょう。

 監督の原さんとはもう10年以上、私宅監置だけでなくじつにさまざまなことを話しあってきました。そうした個人的なつながりもあって、この映画には思い入れがあります。
 きのうを含め、すでに4回見ました。でも何度見てもあきないし新しい発見があって、映像が別の意味を持って現れます。そういう映画はいい映画なんじゃないかと、偏愛をこめて思っています。
(2021年3月22日)