「CODA」順調

 映画「CODA」がまた賞を取りました。
 今回はSAGA、全米映画俳優組合賞です。ろう者俳優のトロイ・コッツァーさんも助演男優賞に輝きました。気に入った映画が賞を取るのは気分がいいものですね(SAG Awards 2022: ‘CODA,’ Will Smith and Jessica Chastain Take Top Prizes. Feb. 27, 2022, The New York Times)。

 SAGAはアメリカの映画、テレビに出演している俳優の組合が、前の年に最高の演技を見せた仲間の俳優を選び、贈る賞です。アカデミー賞の前座として注目され、テレビ中継もされるそうです(そんな賞があると、はじめて知りましたけれど)。

 CODA(日本の題名は「コーダあいのうた」)は、アカデミー賞の作品賞に当たる「傑出したキャスト賞」に選ばれました。
 助演男優賞にトロイ・コッツァーさんです。
 ちなみに主演男優賞はウィル・スミス、主演女優賞がジェシカ・チャスティン、ぼくでも顔を知っている有名俳優です。そういう大スタートと並んでろう者俳優が受賞したというのがなんともうれしい話ですね。

シアン・ヘダー監督のツイッター画面

 この賞は俳優だけに贈られ、監督や作家には贈られないので、CODAの監督のシアン・ヘダーさんは登場しません。でも彼女のツイッターには、彼女自身(中央)とCODAの主役4人が写っています。もちろん右から2人目がコッツァーさん。

 授賞式でコッツァーさんは流暢なアメリカ手話で受賞のことばを述べました。
「私は2001年から(全米映画俳優組合の)組合員だったけれど、これでようやくファミリーの一員になった気分です」
 スピーチのなかでは、監督と家族も紹介しています。

 ずっと俳優として活動してきたけれど、役にも運にも恵まれなかった。年に300通、オーディションに応募する手紙を書いても返事は1通、しかも「しゃべれない」ので落とされた。更衣室で、車のなかで寝ながら過ごした年月。ようやくろう者としてろう者を演じることができた。音声語をしゃべるのではなく、ろう者としての言語と文化が認められた、そのうれしさが「ファミリーの一員になった」ということばに表れています。

 コッツァーさん、3月27日に行われるアカデミー賞の助演男優賞候補の1人にノミネートされています。アカデミー賞はノミネートだけでも栄誉ですが、ぜひ受賞してほしい。
(2022年3月1日)