北海道浦河町は10日、ときならぬ暴風に見舞われました。
台風9号が温帯低気圧になり、日本海で勢力を増して浦河沖を通り過ぎていったためです。
海は大しけ、漁船もカモメの姿もなく、海辺は強風で吹き飛ばされそうでした。
10年前、北海道に台風が来るなんて聞いたこともなかったけれど、最近は毎年のことです。

台風だけではなく、真夏日もやってくる。
浦河で30度の暑さは10年に一度といわれました。ところがことしは、この2週間で4日もありました。こんなの信じられないと地元の人がなげいています。
はじめて、エアコンの動いている店を見かけるようになりました。

浦河ひがし町診療所診察室
地球温暖化は確実に進んでいる。
日本だけではなく。
ことしアメリカの北西部で観測された熱波は異常でした。冷涼な気候のシアトルやポートランドといった、浦河よりも涼しいはずの都市で、7月にそれぞれ摂氏42度、47度という信じられない暑さが記録されています。
そのちょっと前には、ヨーロッパで100年に1度の大洪水があり、100人以上の犠牲者が出ました。ギリシャでは未曾有の山火事がつづいています。

9日に発表された国連の「気候変動に関する報告書」は、地球温暖化はすでに取りかえしのつかないところまで進行しており、猛暑、洪水、山火事はこれからもっとひどくなるだろうといっています(Climate change: Five things we have learned from the IPCC report. August 9, 2021, BBC)。
8年ぶりの新しい報告書で印象的なのは、温暖化について「確定的な記述」が増えたことでした。8年前の報告書はちょっと不確実で、温暖化は進む「だろう」というトーンだったと思います。でも今回の報告書は、40ページの42か所で「ちがいない」(very likely)という表現が使われています。それだけのデータが、この8年で蓄積されました。科学者がこの表現を使うとき、90%から100%の確率で起きることだとBBCは指摘しています。
気候変動は将来の危機ではなく、いまここで起きていることになりました。
この地球問題で、ぼくができることはほとんどゼロです。でもないわけではない。
少なくとも気候変動を「気にする」こと。そこからはじめる。
何をどのように気にするのか。台風や熱波のなかで少しずつ考えていきましょう。
(2021年8月10日)