ゴルフボールを飲みこんだヘビがいました。
そのままでは死んでしまうので、3時間の大手術でボールを取り出し無事自然にもどされたそうです。ワシントン・ポストの記事です(A snake swallowed a golf ball and was left for dead. It’s joining several rescued animals returning to the wild. May 1, 2021, The Washington Post)。

ケガした鳥を救う話はよく聞くけれど、ヘビまで救うとは! でも読んだらなかなか楽しい記事でした。
ことの起こりは、バージニア州のさる女性が去年秋、お腹の真ん中がぽっこりふくらんでいるヘビを見つけたことでした。ネズミヘビという、日本のアオダイショウの仲間です。なんかおかしいと、ブルーリッジ野生動物センターに持ちこみました。
センターには、ほかに治療中のヘビが20数匹いました。車にはねられたり農機具に巻かれたりでケガしたみなさんです。ゴルフボールを飲み飲んだヘビは、年に1,2匹、持ちこまれるとか。

そのままでは死んでしまうと、獣医さんが大手術をしました。3時間がかりで。
助けられたヘビはそれから2か月、流動食から固形食へといったリハビリを受け、さらに4か月休養して回復し、5月1日、無事自然界に放出されました。
手術から6か月もセンターにいたのは、バージニア州の法律で爬虫類や両生類は気温が高くなる5月以降でないと自然界に放すことができないからです。だからこの日、ほかのケガなどから回復した20数匹のヘビも、同時に自然界にもどされました。それも、法律の定めに従い、もとの生息地の近所にまで連れていって。

ところで、なんでヘビはゴルフボールを飲み込むんでしょう。
これには特別な事情があるようです。ニワトリを飼う人たちのなかに、ヘビが卵を食べに来たときまちがって食べるよう、ゴルフボールを置いておく人がいるんだそうです。だからセンターには毎年、ゴルフボール・ヘビが持ちこまれる。獣医は外見を見て、ああ、ゴルフボール飲んだなとわかるらしい。
そうまでしてヘビを守ろう、助けようという人たちがいる一方で、ヘビをきらい、ことあるごとにやっつけ排除しようとする人たちもいる。でも、なんだかやってることが極端ですよね。
ぼくが子どものころ、近所の農家はアオダイショウを大事にしていました。ネズミを食べてくれるからといって。いまはもう、日本もそういう時代じゃないんでしょうね。
(2021年5月2日)