トヨタが、アメリカで槍玉にあがっています。
「暴動議員」への政治献金をつづけていると。
トヨタ車を買うのはやめようというのは、ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、ダナ・ミルバンクさんです(Drive the all-new Toyota Paranoia, Official Car of the Jan. 6 Insurrection. Opinion by Dana Milbank, July 7, 2021, The Washington Post)。
へえ、トヨタってそんなにトランプ共和党が好きなんだ。
と思って読んだら、そうでもない事情がわかってきました。

暴動議員、というのは、去年の大統領選挙はインチキだ、不正だというアメリカ議会の共和党議員147人です。バイデン氏の大統領選出に反対票を投じただけでなく、議会をトランプ支持の暴徒が襲撃したのも当然としている。だから暴動議員、民主主義を否定する政治家とミルバンクさんは断定しています。
一時は、そういう政治家への政治献金が止まりました。でも混乱から半年たち、金の流れが復活しています。その動きをまとめた民間団体「CREW」のレポートをもとに、ミルバンクさんはいっています。
「多くの企業は当初の約束通り、こうした政治家への献金を控えてきた。ところが突出している企業がある。トヨタだ」

政治献金レポートの一部
たしかに、レポートによればトヨタは38議員に5万6千ドル、500万円あまりを献金している。でも金額的にはボーイングの21万ドルやウォルマートの6万ドルほどではない。問題はその献金のしかたでしょう。
ボーイングは一時「暴動議員」への献金をやめていた。でもトヨタはやめなかった。ウォルマートの献金先は議員2人だのに、トヨタは38人。突出して「広く薄く」です。

問い合わせにトヨタ広報が答えています。
「自動車産業と当社にとって重要な問題への取り組みに応じて、先生方を支持しております」
たぶんここでミルバンクさんは「おいおい、ばかにするなよ」と反発したのでしょう。問われているのは憲法の、民主主義の理念だろ。それを1企業、業界の問題にするなよと。
んな、無理いわれたって、とトヨタはいうかもしれない。でも。
広く薄く、まんべんなく。政治的主張はしない。あたりさわりなく。
ほんとに槍玉にあがったのは、この態度なんだろうとぼくは見ています。
(2021年7月8日)