アラバマでヨガを

 ヨガは、ヒンズー教だから禁止。
 アメリカ南部のアラバマ州にはこんな法律がありました。
 公立学校でヨガをしたら違法、それが28年もつづいてきたのです。
 その州法が改正され、学校でもヨガができるようになったとワシントン・ポスト紙が伝えています (Alabama might overturn its 28-year ban on yoga in schools. Just don’t say ‘namaste.’ March 13, 2021, The Washington Post) 。

「たしかにヨガはヒンズーの教えからはじまっている。それはヒンズーから世界のみなさんへの贈り物なんです」
 北米ヒンズー連合のトリヴェジ会長は、アラバマ州議会の議決は一歩前進、でも十分ではないといいます。まだ「ナマステ」と唱えることは禁止だ、っていうんだから。

 ナマステはヒンズー語で「こんにちは」。でも、もともとは「わたしはあなたに頭を下げる」という意味だそうです。そんなことばを学校で子どもたちに唱えさせるわけにはいかないと、アラバマの保守派がこだわり、ヨガ解禁は部分的な措置にとどまりました。
「こういうのって、植民地主義の発想でしょ」
 トリヴェジ会長は、異なる文化を全体として認めるのではなく、都合のいい一部だけ取りだすのはおかしいといいます。

 ナマステはダメだけど、ヨガで身体を動かすことはかまわない。
 アラバマ州議会で法改正を主導したグレイ議員は、「完全な法律なんてないんだ」といいます。自身、ヨガを実践してそのよさを知っていたので、3年前から運動して今回ようやく与野党の合意を取りつけました。ここまで来るのはたいへんだったといいながら。

 2017年の統計によれば、アメリカ人のおとなの14%がヨガを実践しています。CDC、米国疾病予防管理センターも学校教育での実施を勧めている。ヨガはもうアメリカ人の暮らしの一部です。日本より先を行っているんじゃないでしょうか。

キブシの花(横浜、3月15日)

 それほど人気のヨガが、アラバマ州では学校教育の場で禁止されてきた。それもヒンズー教由来だという理由で。このへんにアメリカ宗教保守派の頑迷さが表れています。この宗教保守派、というよりは宗教もどき習俗の盲信派は、ほとんどそのままトランプ支持者につながっている。アラバマだけではなく中南部の諸州で。いや全国的に白人居住区で。

 とはいえ、アラバマの人たちから見れば日本の学校の「髪の毛の長さ、下着の色まで決める校則」なんてものも、まともな頭じゃ理解できないってことでしょうけど。
(2021年3月16日)