バツじゃありません。
性別欄に「X」を認めるということです。
アルゼンチンのフェルナンデス大統領が、アルゼンチン市民のパスポートにはこれから性別欄に「男」「女」のほか、「X」も認めると表明しました。
自分は男でも女でもないという人は、「X」と書かれたパスポートを持てるようになったのです(Argentina introduces new ID cards for non-binary people. 21 July 2021, BBC)。

おなじような動きがアメリカでも起きていることをこのブログで書きました(7月1日)。
アメリカ国務省も、近くアメリカ国民のパスポートに「X」を認めることにしています。カナダ、ニュージーランドではすでにX表記が認められました。
性別欄に男女の2つではなく、Xをふくめた3つの表記があることは世界的な流れになりつつあります。
ジェンダーに関して先進国のアルゼンチンでは、すでに「性的に中立であること」を権利として認める法律があります。この法律にもとづいて、身分証明書やパスポートにXと表記することが認められたわけです。ブエノスアイレスでは21日、記念式典が行われ、さっそく性別がXと書かれたパスポートが3人の市民に発行されました。

(ブエノスアイレス, Pixabay)
でもXだけでいいの?
性自認に関しては、じつに多様な主張と現実があります。LGBTQという言い方が一般的になっているように、LGBTQのすべてをXひとつで表すのは無理があるのではないか。
フェルナンデス大統領はこうした議論も踏まえて、いっています。
「男と女以外のアイデンティティもたくさんあります。それもまた尊重されなければならない」

もう少ししたら、議論はさらに深まるでしょう。
そもそも性別欄を設けるのがおかしいんじゃないか。性別の表記そのものをなくせばいい、というふうに。
そういう議論はきっと、アメリカやアルゼンチンでもうじまっているのでしょう。
アジアでそういう議論をはじめるのは、まず韓国なんじゃないかな。社会制度設計、たとえば移民政策や精神保健制度など、いまはもう日本よりずっと進んでいる印象があるので。
日本のほとんどの人たちは、そうした議論に無関心だけれど。
(2021年7月22日)