ウイグルの綿

 イギリスのBBCは、ニューヨーク・タイムズとともにぼくが信頼するメディアです。
 かつてぼくは放送局で仕事をしていたので、身にしみてわかります。「BBCって、やっぱすごい」、そう思ったことが何度もありました。

「ウイグルの綿」に関する報道もそうです。
 中国のウイグル自治区では、ウイグル人に対する中国の弾圧と迫害がひどいといわれます。数十万人規模でウイグル人が収容所のようなところに押しこめられ、イスラム教や文化を捨てるよう強制されているとか。チベットで行ったのとおなじことを、中国はウイグルでくり返しているのでしょう。

 BBCは去年12月以来、ウイグルの綿が強制労働によって生産されていることを活動家の調査をもとに報道してきました。BBCの記者による現地での確認取材はたび重なる妨害を受けています(https://www.bbc.co.uk/news/extra/nz0g306v8c/china-tainted-cotton)。
 ウイグルの綿は世界の20%を占め、中国の綿の85%にもなるといいます。その多くがウイグル人の強制労働によって生産されるのだとしたら、ぼくはそんなもの買いたくないし着たくもないなあ。でもいま着てるユニクロ製品はそうなんだろうか。

 13日のニュースは、「BBCウイグル報道」の続報ともいえるものでした(UK tightens rules on using Uighur-picked cotton. BBC)。
 その骨子は、イギリス政府がイギリス企業に対し、ウイグル自治区での強制労働にかかわっていないことを求め、その証明がなければ罰金を科すというものです。
 つまり、中国ではウイグル人の強制労働が行われている、イギリス企業はそれに加担してはならないということです。
 この方針を、イギリスのラーブ外相が国会でのべました。
 その先駆けとなったのが市民運動家であり、それを報道してきたBBC。
 日本の政府もメディアも、なかなかこんなことはできません。
 ことに相手が中国の場合は。

 ここにいたってぼくの関心は、じゃあどうすればウイグル製でないコットンが手に入るんだろうということです。
 イギリスでは、すでにマークス・アンド・スペンサーという大手の小売りチェーンがウイグル由来の製品から手を引いたようです。日本でもそういうとこがないんだろうか。フェアトレード商品は値段が高いけど、やせがまんしても受け入れるべきなんでしょうね。
(2021年1月14日)