北海道浦河町にあるオバケ桜を見に行きました。
JRA、日本中央競馬会の広大な牧場のなかのエゾヤマザクラです。

曇り空の3日、見に行くと各地からやってきた車が列をなしていました。だだっぴろい駐車場に、なんと誘導員までいます。入り口では体温測定、何の意味があるかわからないけれど手指のアルコール消毒もします。そうしてなだらかな丘を5分ほど上ると、ありました、オバケ桜。五分咲きというか五分散り、満開を過ぎていたけれどみごとです。
樹齢推定80年、幹の周り4.8メートル、浦河町によれば「北海道一」の太さです。
大きさもさることながら、広大な牧場にぽつんと立っている姿がいい。全体に丸く茂った樹形が絵になります。

それにも増して魅力なのは名前でしょう。オバケザクラ。
別にオバケが出るわけではない。近くにオバケ川という川が流れているので、そこから名前をとったそうです。
でもそのオバケ川は、なんでそういう名前なんでしょう。
これがじつはよくわからない。近くにはケバウ川という別の川があって、ともにアイヌ語らしいけれど語の由来は不明です。

わからないけれど、ちょっと強引に「オバケ」という名前を借りて1本のサクラに付けてしまった。そうしたら人気沸騰、全道から見物者が来るようになったということじゃないでしょうか。名前ひとつに、役所か観光協会あたりに知恵者がいたことをうかがわせます。
オバケ桜のある牧場はふだん立入禁止ですが、いまの時期だけ特別に公開されているとか。
過疎の町の観光振興策に、ぼくも乗ってしまいました。
(2021年5月4日)