オランダの王女は、女性と結婚することもできる。
そんな議論がちょっとした話題になっています。
王女が女性と結婚、ってことは同性婚ですね。それが可能だとルッテ首相がいっている。女性と結婚しても、王位を継承することができると。
さすが世界でもっともリベラルな国、王権の議論もレベルがちがいます(Dutch crown princess could marry woman and be queen – Rutte. Oct. 13, 2021, BBC)。

話題の焦点であるアマリア王女は17歳、いま結婚の予定があるわけではありません。同性婚を望んでいるわけでもない。けれど、もし本人がそう希望するならできますよと、首相が言明したわけです。

なんでわざわざそんなことをいったかというと、オランダでは2001年から同性婚が合法化されたのに王室は例外とみなされてきたからです。
王や女王が同性婚だといけないのは、王位継承者が必要だから。
血のつながった子をつくらなきゃダメでしょ、という考え方からです。
でも、もうそういうのは21世紀の考え方じゃないと、オランダの人びとは考えるようになりました。
同性婚でいいじゃないの、後継者? 養子を迎えるとかなんとか、いくらでも手があるでしょ。
ということで、王女も同性婚が可能、後継者は本人たちが決めればいい、となりました。
それをルッテ首相が議会の質問に答えて表明しています。

オランダ王室の財政は国によって維持されているので、最終的にオランダ議会の承認が必要になります。でもルッテ首相は「もしそのときが来たら、橋を渡ろう」と楽観的に構えている。
現在のオランダ王室には、ウィレム=アレクサンダー国王のもとに3人の王女がいて、長女のアマリア王女が王位継承者です。
王女には、18歳になると年間約2億円の手当が支給される。しかしイギリスのガーディアン紙によれば、本人はことし6月、ルッテ首相に手紙を書き、コロナでほかの学生がたいへんな時期に自分は何もしていない、それなのに手当を受け取るわけにはいかないと支給を断りました。
そういう手書きの手紙もぜんぶ公開されている。
透明性の高い国です。
(2021年10月23日)