カラスが群れて困る。
レーザーで追い払おうという人たちがいます。
カリフォルニア、シリコンバレーのサニーベイルという町です。
一瞬、レーザーで傷害を負わせるのかと思ったけれど、そんなことはしない、脅して追い払うということらしい(California City Is Overrun by Crows. Could a Laser Be the Answer? Jan. 17, 2022, The New York Times)。

どういうわけかここ数年、サニーベイルにはカラスが大挙して押しかけるようになりました。中心部にざっと1千羽。ゴミをあさって鳴きわめき、そこらじゅうにフンを落とす。レストランやファストフード店の屋外席にも、カラスの直撃弾が命中するようになりました。こうした逸脱行為に、市民の苦情が高まっています。
5年前からカラス公害に立ち向かってきた市当局は、一度ハヤブサを起用しました。猛禽類が姿を見せればカラスはいなくなるだろうと。でもそんなことでひるむ相手ではない。ラリー・クライン市長によれば効果は「限定的」でした。
そこでこんどはレーザーです。最近、緑色のレーザーを照射するとカラスが逃げることがわかってきたからです。

サニーベイルでは、カラス担当職員がこれから毎日、夕方になると1時間、街頭でカラスの群れにレーザーを当てることになりました。夕方というのは、あちこちに散らばっていたカラスが中心部にもどり群れをなす時間です。レーザーと同時に、録音した「カラスの悲鳴」もスピーカーで流すことにしました。
クライン市長はいいます。
「とにかく脅す。それであいつらがねぐらを変えてくれればいいから」
日本ではカラスぎらいの知事がカラスの捕殺を進めたこともありましたが、アメリカではそんな野蛮は許されない。追い払うだけ。だからまたもどってくるかもしれない。

コーネル大学で30年、カラスを研究してきたケヴィン・マクゴワンさんによれば、カラスは緑色のレーザー光を見ると、自分を襲う動物が動いているとカン違いするようです。それでねぐらを変えてくれればいいけれど、うまくいくかどうか。同時に音や光が出る花火も使ったほうがいいかもしれないと、マクゴワンさんはいいます。
「コロナ下のティーンエイジャーとおなじなんです。カラスが集まるのを止めることはできない」
当のカラスはどう思っているのか、聞いてみたいですけれどね。
あと、レーザー係の市職員にも。
(2022年1月21日)