カラス暴れる

 庭にバードフィーダー、小鳥の餌を入れた筒が下がっています。
 スズメやシジュウカラがきて、筒のヒマワリやアワをついばんでいました。
 みんなでにぎやかに楽しそう、おいしそう。

 そこに、バサバサっと遊び人のカラスがやってきました。
 みんなここで何やってんだ? ホオ、こんなとこに食いもんがあるんかい。なんだ、これ、カッカッカッ。
 カラスは餌筒をつついたけれど、プラスチックが破れない。

 チキショー、カラスをバカにしやがって。こんなもん投げ飛ばしてやれ。ギリギリ、ガシガシ。クチバシでつついたり、くわえたり、揺すったり。
 カッカッ、ガシガシ、バサバサ。
 悪戦苦闘およそ1分、ついにカラスはバードフィーダーをぶら下げてあった木の枝から投げ落としたのでした。でも食べるほどのものはなく、つまらなそうに飛び去って行きました。

 吊り下げてあるフックを「くわえて」「枝から外す」、そうすれば外れるって、どうしてわかったのか。やっぱりカラスは頭がいい。

 それはともかく、ここでぼくはどうすればいいか。
 こらあ、カラス! なんてことするんだ、やめろ、ひっぱたくぞと、どなるか怒るか。
 こんど来たら叩いてやろうと棒を用意するか、防護ネットを張りめぐらすか。

 それやっちゃいけないんでしょうね。
 カラスはなぜこんな乱暴をするのか、カラスの身になって考えなきゃいけません。
 もしかしたら学校で仲間にいじめられているとか、親に虐待されているかもしれない。

 語りかける以前に、乱暴するカラスをまずいったんそのまま受けとめること。「ユーメッセージ」じゃなく「アイメッセージ」、つまり「お前が悪い」じゃなくて「ぼくは悲しい」を伝えること。
 さらには、ことば以前の、こっちのこころもようが大事です。平和な気持ちでなければことばは伝わらない。こんどあのカラスが来たらなんといえばいいか。

 それにしても、腹立つな。
(2021年3月27日)