リーフ葬、という葬儀があるそうです。
リーフは、海岸や沖合にある岩礁。その海底に、遺骨をコンクリートに混ぜて大きな塊にしたものを安置する方法です。埋葬であるとともに、埋葬物がリーフの一部となり、魚をはじめとする多様な海洋生物の環境保護に寄与するというわけです。

アメリカではこのリーフ葬が広がり、ニュージャージー州やテキサス州など、指定された30のリーフの2500のポイントでリーフ葬が行われるようになりました(An increasingly popular way to be buried: Become part of an artificial reef. July 19, 2021, The Washington Post)。
日本の散骨というのは、遺灰が海に消えてゆくイメージです。でもリーフ葬は遺骨が300キロから2トンもの巨大なコンクリートの塊になる、というか、そういう塊のなかに埋めこまれるので、船で沖に運び、クレーンで海底に降ろさなければならない。費用は40万円。でも海の底で眠りながら、死んだあとも環境保護に貢献するというイメージです。

リーフ葬は、人びとがしだいに「グリーンな葬儀」、環境に負荷をかけない葬儀を求めるようになった結果でもあるのでしょう。
グリーンな葬儀のために、これまで金属やプラスチックでつくった棺を、腐りやすいようにヤナギでつくったり、なかにはキノコでつくるという方法もあるそうです。
キノコの棺桶!
なんと、調べてみたらオランダのデルフト大学の研究者がつくっていました。見た目は発泡スチロールみたいですが、このなかに遺体を入れて土葬にすると、すべては2年で微生物に分解され土にもどるとか。究極のグリーンな埋葬です。
土葬が認められていない日本では当分むりですが。

ある葬儀業者の団体が調べたところでは、アメリカ人の84%がグリーンな埋葬に興味があると答えているそうです。グリーン葬はこれからさまざまな形で増えるでしょう。
実際、去年12月にはワシントン州シアトルで、アメリカではじめての「ナチュラル・オーガニック・リダクション」とよばれる埋葬が行われました。「生分解葬」ともいうべき埋葬で、遺体も棺桶も土に埋められたあと微生物の働きで自然に還るというしくみだったようです。
いまではアメリカの7つの州が、こうした「生分解葬」の合法化に動いているということです。
ぼく自身は死んだあとにどうなるかあまり関心がないし、墓もいらないと思っています。
でも、できれば焼かれるよりは土葬で、腐敗して土になり、天然資源になった方がいいんですけどね。
(2021年7月21日)