ワシントン・ポスト・マガジンに、グレタ・トゥーンベリさんの長文のインタビュー記事が載っていました。

地球温暖化に危機感をつのらせた18歳の学生が、なぜたったひとりでスウェーデン議会の前に座りこみストライキをはじめたのか。目先に囚われたおとなに怒り、スウェーデンだけでなくヨーロッパを、ついに世界を動かすまでになったか、その経緯と背景が本人のことばで語られています(Greta Thunberg on the State of the Climate Movement. DECEMBER 27, 2021. KK Ottesen, The Washington Post Magazine)。

(Credit: Frankie Fouganthin, CC BY-SA 4.0.)
グレタさんの危機意識と怒りを、ぼくらは共有すべきでしょう。でもこのインタビューでぼくがいちばん興味をひかれたのは、たったひとりでも世界に向かうという彼女の資質でした。長いインタビューの、その部分だけを引用します。
・・・記者)あなたは冗談っぽくいってましたよね。もっと多くの人が自閉症やアスペルガーだったら、気候危機はいまよりも注目されたろうし、どっちつかずの考え方にならずにすむと。
グレタ)自閉症をもちあげるとか、もっとたくさんの人が自閉症になるべきだとはいいません。環境に恵まれなければ自閉症は苦労しますから。でももっと多くの人が自閉症のようになっていれば、ってことはありますね。たとえば事実に着目するとき認知の歪みが少ない、これはいいことです。危機に臨んで、それを危機と認識することができるから・・・
グレタさんは、自分はアスペルガーだといっています(アスペルガー症候群は、最近は自閉症スペクトラムの一部と見られるようになりました)。認知機能がほかの人とはややちがうところがあると自認しているようで、さらにこう答えています。
・・・ほとんどの人は流れを見ますよね。みんなとおなじようにする、目立ちたくないから。まわりに迷惑をかけない、問題を起こさないようにする。ほかの人とおなじにしたいんです。でもそれは危機に際してとても有害だと思います。みんないっしょに動いているとき、誰かが「この先は崖だ」って叫ばなきゃいけない。誰も何もいわないから大丈夫ってついていったら、それこそ危険です・・・

(Credit: John Englart, CC BY-SA 2.0.)
「この先は崖だ」と、グレタ・トゥーンベリさんはいっている。そう叫べるのは、みんなとちがうから、みんなとちがうことを苦痛と思わない資質があるから、といっているかのようです。
彼女のような資質を持つ人がもっと増えれば、地球は助かるかもしれない。「みんなとおなじ」でない人を、ぼくらはもっともっと必要としています。
(2021年12月29日)