ココロはずむアート展

 久しぶりに、スチル写真の撮影で体力を消耗しました。
 ココロはずむアート展、略称「ココはず」の準備です。このアート展に出品するアーチストのポートレート、15人分を撮影しました。

 ココはずは、いわゆる障害者アートの展覧会です。アーチストの大部分はいわゆる知的障害者で、彼らの絵や造形に注目した日本画家の中畝常雄さんがこの展覧会をはじめました。ことしで11年目になります。
 4年ほど前から、ぼくもその手伝いをしています。
 手伝いといっても、アート展に出展するアーチストの顔写真を撮るだけ。ココはずでは作品の横に、どういう人がこの作品を作ったか説明する「作家カード」を付けるのですが、その作家カードのための写真です。

カプカプ竹山(横浜市緑区)

 きょうの撮影は、横浜市の障害者作業所「カプカプ竹山」など2か所でした。2時間で15人を撮影、そりゃポートレートじゃなくて証明写真でしょといわれてしまう。
 でもね、相手が知的障害者、というか天性の自由人なので椅子に座ってもらうだけでも容易じゃない。カメラを向け話しかけても、返事がなかったり返事がわからなかったり、最後には「ちょっと笑ってみようかー」なんて見えすいたセリフを吐いている自分に笑ってしまったり。
 どうにかこうにか、きょうの作業を終えました。

 障害者アートというと、ああ、あの子どもみたいな絵、と思う方も多いでしょう。ぼく自身もそうでした。でもなんども見ているうちに、ふと立ち止まるのです。これっていったい何なんだと。ありきたりな感性ではとても捉えられない何かに、こころ騒ぐことがある。いつもではなく、ときどきではあるけれど。

 アートって、人間の表現って、いったい何なんだろう。
 むかし、大学で聞いた江藤淳のことばがよみがえります。
 人間は生きているかぎり、表現するものだ。

 障害者アートは、最近はアール・ブリュットとかエイブル・アート、ナイーブ・アート、パラアートなど、さまざまに呼ばれています。名称が定まらないことじたい、従来の枠組みで捉えきれないということでしょう。
 ココはずは秋に開催です。具体的な日程が決まったらお知らせしましょう。
(2021年6月30日)