「ココロはずむアート展」を見てきました。
横浜市北部の、障害のあるおとなと子ども106人の作品が展示してあります。
いわゆる障害者アートですが、「かわいそうな障害者ががんばっている」と思って見ていると、つまらない、楽しくない。そうじゃなく、まずそこにあるものを見る。すると見えてくるものがあります。
「お、すごいな!」「何なんだ、これは?」。
それがココロはずむアート展の楽しさです。

ずっとこのアート展を支えてきた画家の中畝常雄さんが、ことしもまた「これってアートなの?」という特設コーナーを設けていました。
障害者と呼ばれる人びとのなかには、なにかに強いこだわりをもっている人がたくさんいます。ただの紙切れをハサミで切りつづけたり、枯れ葉を集めて虫や動物の形にしたり。そのくり返しが度を越すと、「お、すごいな!」「何なんだ、これは?」が生まれる。
そこからこのアート展に入ってゆくのは、謎解き、宝探しのようです。

障害者アートというよりアールブリュットというべきでしょう。アールブリュットは、生(き)の芸術、「正規の教育を受けていない人の芸術」です。ナイーブアートとも呼ばれる。枠にはまらない、奔放な表現。
ゴッホもルソーも、美術教育を受けていないという意味ではアールブリュットでした。でも誰も障害者アートとはいわない。

ココロはずむアート展は、ぼくにとってほかのすべての美術展とおなじです。大部分の作品は、うん、いいね、で終わる。見てすぐ忘れるものがほとんど。でもときどきあります。こちらに「入りこんでくる」作品が。
ただの「いいね」では終わらない、記憶にのこる、というか刻まれてしまう作品。
その記憶の積み重ねがぼく自身になるかのような。
そういう作品がときどきあります。すべての美術展とおなじで。

(カプカプ竹山、横浜市緑区)
ことしで11年目になるアート展は、10月1日まで横浜市緑区のカプカプ竹山というところで開かれています。
10月6日以降、1月23日まで、カプカプ川和、えだ福祉ホーム、アート屋ワンド、スペースナナ、の4か所で巡回展示されます。
(2021年9月30日)