浦河ひがし町診療所の「カフェ・デ・モンク」が再開されました。
コロナで中断されていたのが、1年半ぶりの集まりです。
コロナになる前のカフェ・デ・モンクは、浦河から車で1時間のえりも町で、町の施設を借りて行われていました。今回は、診療所がえりも町で運営する小規模多機能施設「いろり」での開催です。

診療所デイケアのメンバーやスタッフ10人が参加し、えりも町の若者やボランティアらと久しぶりのカフェを楽しみました。
カフェ・デ・モンクは、もともとは東日本大震災のあと東北地方ではじまった「傾聴カフェ」です。縁あって、ひがし町診療所がこの試みをはじめたのは5年前。ちょうどえりも町に、趣旨に賛同してくれる僧侶がいたため、ここで開催されることになりました。

診療所版のカフェ・デ・モンクは、被災者ではなく精神障害やさまざまな生きづらさを抱えた人びとの声を聞く場になっています。声を聞くというより、おなじような苦労を抱えた仲間が、ともに時間を過ごす場、でしょうか。これまで、引きこもりや不登校などの困難を抱えた人びとがたくさん、このカフェにつながってきました。

24日のカフェは1年半ぶりの開催です。しかも場所がこれまでとはちがうということで、はじめはみな緊張していました。司会が「みなさん、コロナでどんな毎日を過ごしていましたか」と聞いても、反応がない。しゃべる代わりにお茶を飲み、出された菓子をもぐもぐするだけ。
でもそこでめげないのが、ひがし町診療所デイケアのメンバーです。ぎこちなさがずっとつづくうちに、それがいつのまにか、ま、いいか、という気分に変わっている。立派でなくてもいい、きちんとしなくてもいい。何しろこういう私たちだから。そういう気分が共有されたとき、場に安心感が広がります。

勝手にギターを弾く人、ハーモニカを奏でる人、食べて飲むだけの人もいます。ぼそぼそとしゃべっている人も、何人かはいました。この脈絡のなさ、バラバラ感。ああ、いつものデイケアの感じだなと思います。
やがて終わりの時間になりました。
司会が、きょうはモタモタしてすみませんでした、と謝っている。でも、「こういうホンワカした感じがいいのかなと思います」ともいっている。
立派でも、きちんとしてもいないカフェ。
外部の人には、それはメンバーの「力のなさ」と映るでしょう。でもぼくには、「ホンワカ」がひがし町診療所メンバーの力として映るのです。
(2021年11月24日)