ヨーロッパやアメリカで、コロナの着地点が見えてきました。
ことにコロナでつねに新しい状況を開いてきたイギリスで。コロナは結局、インフルエンザのようになるということです(Endemic Covid: Is the pandemic entering its endgame? 15 Jan. 2022, BBC)。
オミクロンはすでに先週はじめ、ニューヨークやワシントンDCでピークをすぎました。その前には南アフリカで感染が急減している。イギリスでは、感染はあっても死亡者は減っています。
その全体が示しているのは、オミクロンは風邪のようなものだということでしょう。そうなったのは、ワクチンや自然感染で集団免疫ができたためです。1年前とはまったくちがう。そのちがいにおうじて社会活動をつづける方向が顕著になりました。
警戒を緩めるなという声はあるけれど、レストランや学校は開いたままの「オミクロン・シフト」が、ヨーロッパの基準になろうとしています。

リバプール大学の感染症専門家、ジュリアン・ヒスコックス教授は、われわれはほぼコロナの着地点に達したといいます。
「終わりのはじまり、少なくともイギリスは。2022年は、ほぼコロナ以前にもどれるでしょう」
コロナはふつうのカゼ、エイズや麻疹とおなじように、人間社会に常在する病気、エンデミックになったということです。
「コロナには“エンデミック性”が書きこまれているんです」と、ロンドン大学のエリザベッタ・グロッペリ博士はいいます。「私は楽観しています。コロナは誰でもかかる病気。要注意の人もいるけれど、平均的な人なら大丈夫です」
インペリアル・カレッジのアズラ・ガニ教授は、もう社会生活の規制をしなくてもいいといっています。

つまりインフルエンザとおなじようなものだろうか。でもインフルエンザとコロナと、両方にかかったら最悪じゃないかと尋ねるBBCの記者に、ある専門家は答えたそうです。
「二度死ぬことはないよ」
じつにイギリス的なユーモアですね。
コロナで15万人が死んだイギリスは、人口の割合でいえば日本の10倍以上の犠牲をはらったことになる。でも市民のあいだに強い不満はない。それだけの代償を払ったのは、このユーモアの精神を守るためだったのかもしれません。
(2022年1月18日)