コロナはいつ終わる

 デルタ変異株が猛威をふるったアメリカでは「結局、自由な夏は来なかった」と、苦い思いが広がっているようです。バイデン大統領の支持率も落ちてしまった。
 それにしても、コロナはいつ終わるのか。日常はいつもどるのだろう。
 この疑問について、ワシントン・ポスト紙がまとめています(The covid endgame: Is the pandemic over already? Or are there years to go? September 4, 2021, The Washington Post)。

 4人の、コロナにくわしい大学教授が登場します。無理筋とはいえ、それぞれの見方をぼくなりに要約してみました。

1)カリフォルニア大学サンフランシスコ校、モニカ・ガンディ教授(感染症)
 アメリカのデルタ変異株は、9月中下旬から10月にかけて感染のピークを越える。そうなればコロナは他の感染症とおなじで、多くの人が免疫を獲得し、制御可能な病気になる。問題は人びとの恐怖心が残っていること。過度に恐れたり、過度に軽視する傾向は制御できない。

2)ペンシルベニア大学、エゼキエル・エマニュエル教授(生命倫理)
 アメリカで1日に千人も死んでいる事態は耐えられない。去年3月、私はコロナがことし11月までには終わると予測していたが、事態はもっと悲観的に見なければならない。正常化は2022年春か、それ以降になるだろう。

3)スタンフォード大学、ジェイ・バタチャリヤ教授(医療経済学)
 緊急事態はすでに終わっている。私たちは緊急モードから抜け出すべきだ。コロナは日常的な200もある病気のひとつにすぎない。奇跡的にもワクチンを手にして、私たちの社会は重症化、死亡を劇的に減らすことができた。ワクチンの接種をしても感染することはあるだろうが、それが日常というものだ。いま以上の成果は望めない。

4)ノースカロライナ州立大学、ジュリー・スワン教授(システム工学)
 収束までにはまだまだ時間がかかる。感染のモデルを見ると、いまは子どものワクチンこそが鍵だとわかる。日常を取りもどすためには5歳以上の子どものワクチン接種を進めなければならないが、その認可は年末以降になるだろう。
 10年後にはコロナがインフルエンザとおなじようになっているかもしれない。それまでは、私たちの社会はさまざまな規制が残り、完全にもとどおりにはならない。

 以上は、アメリカの専門家の見方です。そのまま日本にあてはまるわけではない。
 けれどコロナにかんして日本はおおむね諸外国のあとを追ってきたので、いずれ似たような議論がはじまるでしょう。
(2021年9月6日)