オミクロンのピークを過ぎたアメリカ。
そこで一部の専門家は、「警戒を緩めてはならない」といいます。いつ次の変異株が現れるかもしれないから。
でも別の専門家はいいます。「だからこそ、いま規制を緩めよう」。コロナに疲れた私たちの社会は、次の変異株に備えるためのレスパイト、一時的な休息が必要なので。
いい議論だと思うので紹介します(Yes, more variants may emerge in the future. That’s why we should lift restrictions now. By Leana S. Wen. Feb. 1, 2022, The Washington Post)。
いまだから規制を緩和を、と訴えるのはジョージ・ワシントン大学教授(公衆衛生学)のリアナ・ウェン博士です。彼女はいいます。

(本人のツイッターから)
「オミクロンの波はニューヨークでは減りはじめている。その次の変異株がいつ、どのように現れるかは予測できない。この将来の危機に備えるために、いま私たちは日常を取りもどすべきだ」
みんなコロナ下の暮らしに疲れている。休めるときには休もうというのですね。
「入院患者が減っている地域では、すみやかに規制を解除しよう。それは新しい脅威が現れたとき、いつでも再規制ができるようにするためだ。規制を解除すればみんなほっとする。それは感染対策の正当性を保つためにも必要だ」
みんなの理解、納得がなければ感染対策は有効性を失う。休めるのに「危険だ、警戒を」といいつづけて休ませないのは愚策です。

「もっとも重要なステップは、マスクの一時解除だ。マスクが気にならない人もいる一方、マスクはすでにパンデミックの象徴であり反発は強い。マスクをしろというなら、いつやめるかの指標が必要だ」
いつまでもだらだらと義務化すべきではない。いつ、どうなったら「終わり」か、マスクを外せるのか、明示すべきだというのですね。でないと、永遠にマスクを外せなくなる。
「とはいえ、ある程度警戒が必要なときは“3の2”で行く。ワクチン、検査、マスク。この3つのうち2つがあればいい。ワクチンをしても検査をしないならマスクが必要。ワクチンをしていないなら、検査とマスクの両方が必要、というように。学校や職場でみんながワクチンをすませ、いつも検査をしているなら、マスクはいらない」

明快です。納得できる。
日本はアメリカより遅れてオミクロンが猛威をふるっているので、いまこのような議論をすることは無理かもしれない。でも事態が少しでもおさまったら、すぐにレスパイトがほしい。次の変異株の出現に備えるために。
(2022年2月3日)