コロナ対策の新原則

 コロナ下での「三の二原則」というのがあります。
 わかりやすいので紹介しましょう。
「三」というのはワクチン、マスク、検査です。「三の二」というのは、三つのうちのどれか二つが必要、という意味です。
 ワクチンとマスクをしていれば、検査はしなくてもいい。マスクと検査(陽性の確認)ができれば、ワクチンは気にしなくてもいい(確認しなくてもいい)、ということですね。

 ワクチン、マスク、検査。
 このうちの二つが必要。オミクロンが広がっていても、当面はこれでだいたいの状況は安全に過ごせるということです。

 ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、感染症の専門家であるリアナ・ウェン博士が、読者向けのニュースレターで提唱していました(The Checkup With Dr. Wen. December 16, 2021)。

 ウェン博士がいっているのは、年末年始の休暇シーズン、いろいろなパーティや交流があるけれど、コロナ対策をどうすればいいかというさまざまな読者からの質問に対する一般的な答です。だから三密がひどいような極端な場合にあてはまるものではない。でも一般的に、どこかの集まりに出かけようというときなど、ひとつの常識的な基準としていいものでしょう。

 この「三の二原則」、じつは新バージョンです。旧バージョンは「屋外、マスク、ディスタンス」でした。
 これまではコロナに感染しないよう、感染を広げないようにするには、この三つのうちの二つを満たしていればいい、ということでした。屋外でマスクをしていればディスタンスはいらない、屋外でないときはマスクもディスタンスも必要、というように。
 ところが、だんだんわかってきたのです。屋外ではコロナに感染することはほとんどないということが。そうした実態に合わせて、ウェン博士も「三の二原則」の新バージョンを提唱することにしました。屋内での活動に焦点を当てて。

 健全なアプローチだと思います。
 科学的な知見が集まるに従って、危険への対応を変えてゆく。それは逆にいえば、それだけアメリカ社会には「コロナ規制への反対」が強いということです。コロナ以前にもどりたい、自由に暮らしたいという欲求が、西欧では日本から見れば異常と思えるほどに強い。そういう社会で、危険と規制はつねにチェックされている。
 ぼくらが「理不尽な規制はイヤだ」という声をいつもどこかであげていないと、安易な規制はいつまでも放置されていると思います。
(2021年12月17日)