診療所デイケアのメンバーが、農作業に出かけました。
浦河から車で40分のえりも町まで行って、ホウレン草の収穫と袋詰めの手伝いです。
ひがし町診療所デイケアは、この夏からえりも町での農作業を行っています。巨大な温室をつくった事業者が、やってみませんかと声をかけてくれたからです。
夏から秋にかけ、たくさんのメンバーがこの温室農園でミニトマトの収穫を手伝いました。トマトが終わり、こんどはホウレン草の収穫です。レクリエーションとボランティアを兼ねて。

この日参加したのはメンバー4人とソーシャルワーカーの木村貴大さんでした。農園の作業員といっしょになっての作業です。
ホウレン草なんて、ただ引っこ抜けばいいのかと思ったら、そんなんじゃない、とても繊細な作業でした。
まずハサミを持ってじっくり座りこみます。ホウレン草の根元の土にハサミを差し入れ、根を切って取りあげる。根元に付いてる土をていねいに取りのぞき、いらない葉っぱを除く、そしてバスケットに入れる。そのくり返し。ていねいにしないと、ホウレン草の柔らかい茎が折れてしまいます。

診療所メンバーの純毛めぐみさんの慎重な作業は、パントマイムみたいでした。1株収穫するのに20秒くらい。スーパーで売っているホウレン草一袋分の収穫に、3分はかかる。
おまけに袋詰めにも、おなじくらいの手間と時間がかかります。ポリ袋にギュッと入れればいいってもんじゃない。大きさをそろえて重さを量り、きちんと入れる。この「きちんと入れる」のがとても手間だと知りました。
きれいなホウレン草がきちっとそろっていないと、消費者は買わないのです。

30分ほど作業した純毛さんが、はあー、とため息をつきました。
きょうは予定していた数のメンバーが集まらず、作業は午後までつづきそう、はあー、です。
それを見て木村ワーカーが声をかけました。純毛さん、サボんなきゃダメだよ。
まじめにやれ、じゃないんですね。ここではちゃんとサボることが大事。事実、純毛さんが音を上げている横では、ほかのメンバーがとっくに車にもどって寝ていました。

サボんなきゃ、つづかないよ。
それもそうか。
サボって、働く、働いて、またサボる。そうすると、仕事はブラックになりません。
(2021年12月16日)