金曜日はズームなしの日にする。
アメリカのシティバンクがそんなお触れを出しました。
みんな“ズーム疲れ”してるから。お客さんとのやり取りはしかたがないけれど、社内のズーム会議は禁止。
大銀行初の女性社長である、シティバンクのジェイン・フレイザーさんはいいます。
「家庭と仕事の境目があいまいになり、私たちの暮らしは脅かされている」
週1日、金曜日だけはズームの画面から離れましょう(Citi Creates ‘Zoom-Free Fridays’ to Combat Pandemic Fatigue. March 24, 2021, The New York Times)。

シティバンクだけでなく、アメリカの企業にかぎらず、この1年どこもかしこもパソコン画面上のズーム会議だらけでした。
でもこのズームで、じつはリアルな会議より疲れるんですと、スタンフォード大学のジェレミー・ベイレンソン教授らはいいます。教授らの研究によれば、いわゆるズーム疲れには4つの側面がある(https://news.stanford.edu/2021/02/23/four-causes-zoom-fatigue-solutions/ )。

その4つとは、濃密なアイ・コンタクト、画面上に自分が出ているためのストレス、画面に合わせて座りつづけること、リアルな会議よりずっと集中力が必要なこと。不自然なコミュニケーションを長時間強いられてる、ってことですね。
ズーム疲れを減らすために、ベイレンソン教授はたとえばパソコン画面上の人物サイズを小さくするとか、カメラを引き離してもっと部屋が写るようにする、ときには自分の顔を画面から消して音声だけの参加にするなど、いくつかの方法を提案しています。

たしかにズーム中、通信状態が悪くて音声、画面が一時的につながらなかったりすると、あれ、どうしたんだ、ちょっと待てよ、とかいいながら立ったり座ったりして、ホッとしているときがありますね。
ズームをはじめとするビデオ会議は、そもそも実会議の代わりにはならないという専門家もいます。ズームは負荷が高いので、ズームを使うと1日の労働時間は2時間分増えるという調査もあるとか。
シティバンクの金曜ズーム禁止は、メガバンクといえども働く人のことを考える視点があったからか。それとも、みんなほんとにズームに疲れきってるからか。
(2021年3月26日)