EU、欧州連合から、将来のぼくらの暮らしが見えます。
日本のメディアが、フランスで犬猫の売買が禁止になると伝えていました。ペットを保護するこうした動きは、やがてEUに広がるでしょう。ということは、遅れて日本もそうなるにちがいない。
ペットの売買規制だけでなく、ごみの分別収集やレジ袋の有料化、太陽光や風力の発電へ、みな米欧からはじまり日本に普及しています。環境保護、気候対策や人権擁護は、欧米が唱え、やがてぼくらの暮らしに入ってくる。
そういう流れのなかに、新しく出てきたのが「熱帯雨林の保護」です。

EU議会にこのほど、熱帯雨林を損なう輸入品を規制する法案が出されました。具体的には、途上国の熱帯雨林がどんどん伐採され、耕地となって農産物の大量生産に向かうのを規制しようという法案です(E.U. seeks to block import of commodities that drive deforestation. Nov. 17, 2021, BBC)。
熱帯雨林を損なう輸入品としてあげられているのは、コーヒー、ココア、大豆、牛肉、パーム油や木材など。その加工品の、たとえばココアだったらチョコレート、木材だったら家具なども含まれます。こうした消費財が、もし熱帯雨林を伐採した土地でつくられていたら、その輸入を規制しようというのです。
欧州議会で審議され、成立すれば画期的な規制になるでしょう。

欧州委員会の環境問題を担当するリトアニアの代表委員はいっています。
「私たちは一方で気候変動への思いきった対策を各国に求めながら、その一方で公害を輸出し熱帯雨林の伐採を許すようなことをしてはならない」

長期的に見て、牛肉やコーヒー、チョコレートの値段が上がるのは避けられなでしょう。それは「環境正義」から見れば、当然の帰結でもあります。
そういうものが安くふんだんにあっていくらでも買えるというのが、ほんらいは異常なことでした。その陰で、どこかの国の労働者が不当に搾取され、熱帯雨林が野放図に破壊されていたのですから。
レジ袋やごみの分別とおなじように、ぼくらはやがて「高価な牛肉」「ぜいたくなコーヒー」「貴重なチョコレート」を受け入れなければなりません。
でもなあ。
チョコレートが気軽に食べられなくなるっていうのは、つらいですね。
(2021年11月26日)