デイケアの一部が復活

 緊急事態のもとでも、日常は少しずつもどります。
 北海道では依然として感染者がかなり出ていますが、浦河ひがし町診療所の状況は落ちつきました。先週のように、診療所スタッフの「家族の知り合い」に「感染の恐れ」があるというような「多少とも懸念される事態」がなくなったからです。
 とはいえ、町には、そしてちょっと離れた都市部にはコロナがまん延しています。用心しながら進むしかないでしょう。

 26日午後から、診療所は精神科デイケアを部分的に再開しました。少人数の固定的なメンバーが集まるプログラムからはじめようということで、1週間ぶりにデイケアに人影がもどりました。

 再開プログラムの第一号は「アロマ教室」です。
 アロマをいろいろな形で楽しむ集まり、きょうのテーマは「抗ウイルス作用のあるアロマで消毒スプレーづくり」でした。

 参加者は講師の指導を受けながら、ユーカリやラベンダー、カルダモンやローズウッドといった十数種類のアロマのなかから好きなものを選び、アルコールと水を加えて消毒スプレーをつくります。
 30分もすると、誰もがそれぞれにオリジナルの「アロマ消毒スプレー」を手にしていました。

 デイケアはまだ全面的には再開されず、大人数で密になることはできません。目的を持った特定の人が集まる活動を少しずつはじめることになるでしょう。
 これを機に、デイケアのあり方を変えるのもいいねという話がきょうのミーティングでも出ていました。ただ人が集まればいいのではなく、何か意図を持って活動する場所にシフトできればと。

 その一方で、地域には精神科デイケアを知らない人や、知っていても来られない人がたくさんいるという現実があります。そういう人びとのもとにどうすればたどり着けるか、あるいはたどり着いてもどういう形で診療所と、外の世界、仲間とのつながりにつなげればいいのか、考えなければならないことが無数にあります。

 コロナという「緊急事態」で、一時的にせよこれまでの活動ができなくなったひがし町診療所は、ただ元通りになればいいと考えているわけではないようです。進化しつづける診療所にとって、コロナはひとつの通過点に過ぎないのかもしれません。
(2021年5月26日)