デルタ株とワクチン

 コロナ・ウィルスのデルタ変異株は、発見されてから半年で世界のコロナ・ウィルスの主流になりました。これまでになく感染力が強いようです。
 日本でも急速に広がり、国立感染症研究所サイトによれば7月中には全感染者の半数がデルタ株になると予測されています。

 そのデルタ株に、ワクチンが効かないのではないかという懸念が起きました。
 コロナ・ワクチンはこれまで95%の人に効いていたのが、デルタ株に関しては64%に下がったと、イスラエル保健省が発表したからです。6日のウォールストリート・ジャーナル紙が伝えました。

 これに対し、ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズの両紙が、だいじょうぶ、デルタ株にもワクチンは効く、心配することはないと伝えています(July 8, 2021, The Washington Post : July 6, 2021, The New York Times)。

 デルタ変異株に対するワクチンの有効性は、より大規模なイギリスの調査では88%、カナダでは87%と報告されています。
 イスラエルの64%という数字は専門誌に掲載されたものではなく、科学的に検証されていないデータです。ワクチンの効果が低下しているかに見えるのは、イスラエルでは検査が徹底しているので「感染しているけれど症状が出ていない」人がたくさんいる、という事情も関係しているのでしょう。

 それよりもっと重要なのは、おなじイスラエル保健省の発表にある、ワクチンはデルタ株でも重症化を94%防ぐという事実です。つまりワクチンをちゃんと打っていれば、デルタ株に感染してもほとんどは軽症ですむ、入院しなくてもいいということです。
 ワクチンの効能は感染防止だけではなく、感染しても重症化しないところにあるのですね。

大規模接種会場から見た横浜港

 ということで、ぼくも安心してきょう、2回目のコロナ・ワクチンの接種を大規模接種会場で受けてきました。
 これから2週間すれば、ひとまず免疫ができるでしょう。
 でもよろこぶわけにはいきません。若年層、中年層にはほとんどワクチンが届いていないのですから。これでは電車やバスに乗っても当分マスクをしなければならない。密の集まりができるのはまだまだ先です。

 それにしても。
 ワクチンがない、オリンピックの観客もない、その説明もない。なんなんだろうか。
(2021年7月11日)