トヨタが献金を中止

 きのう、このブログでトヨタが槍玉にあがっていると書きました。
 アメリカ共和党の多数の「暴動議員」に多額の政治献金をしていたからです。
 暴動議員というのは、去年の大統領選挙は不正だったといって負けを認めず、議会襲撃の暴動を助長した共和党議員147名。そのうちの38名に、トヨタは献金していました。
 民主主義の破壊に手を貸すトヨタ、とワシントン・ポストに批判されました。

米連邦議会議事堂
(1月6日、トランプ支持の暴徒らに襲撃され
一時占拠された)

 でも、さすがトヨタ。反応が早い。
 ポスト紙報道の翌8日、そういう献金をやめる、と発表しています。
 ニューヨーク・タイムズが伝えました(Toyota says it will stop donating to Republicans who contested the election results. July 8, 2021, The New York Times)。

 トヨタが献金をやめると発表したのは、ポスト紙に書かれたこともあったけれど、タイムズによればかねてから保守系の政治活動監視団体「リンカーン・プロジェクト」などに批判されていたことも響いたようです。リベラル、保守、どちらからも問題にされたということでしょう。

 トヨタは8日、こんな声明を出しました。
「去年の大統領選挙の結果を認めようとしない議員たちに対し、献金を中止すると決定した。トヨタは民主主義の進歩のために行動し貢献する」
 この声明を受け、リンカーン・プロジェクトも声明を出しています。
「トヨタは事業より民主主義を優先させるという正しい選択を行った。われわれは他の企業もこれにならうように希望している」

共和党・反トランプ系民間団体
「リンカーン・プロジェクト」ロゴ

 こうした動きを日本にいる経済人は、ことにえらそうなオッサンたちは、「また、例の日本叩きだよ」と見過ごすんじゃないでしょうか。たしかにそう見える部分もある。
 でも日本叩きとしか見ないでいると、アメリカに、そしてまたヨーロッパに広がる企業統治をめぐる潮流のほんとうの変化を見逃すことになるのではないか。たぶんアメリカのトヨタは、批判が起きたことに「やばい」と気づくだけの鋭敏な感性があった。だからすばやく反応できたのです。
 もしこれが日本国内の、えらそうなオッサンたちが牛耳る組織だったらこうはならなかったでしょう。
(2021年7月9日)