ハーブカフェららら

「SKYかわさき」というところがあると、弁護士の池原毅和(いけはら・よしかず)さんが教えてくれました。
 精神障害者を支援するNPOで、去年から社会福祉法人になっています。
 10の事業所に利用者600人というから、かなりの組織。でもあの池原弁護士が「いいところです」というんだから、これは行ってみなければ。

 というわけで、事業所のひとつである「ハーブカフェららら」に出かけました。
 横浜のぼくの家から車で10分ほど、こんなに近いとは知らなかった。
 郊外の住宅地がとぎれたところ、その先に行けばもう畑という地域です。広々のんびりした環境で、入り口にはミモザの黄色い花が満開でした。

ハーブカフェららら(川崎市麻生区)

 目ざすカフェは、温室のような大きな建物のなかです。広々としたテラス席があり、そこでコーヒーとシフォン・ケーキをいただきました。ケーキのクリームにはローズマリーの葉が、グラスの水にはミントの葉が浮いています。さすがハーブカフェ。
 庭でさまざまなハーブをつくっているようで、メニューには何種類ものハーブ・ティーやドリンクが載っています。

 何より気に入ったのは、「社会福祉法人の事業所」らしくないこと。
 ぼくはこういうカフェや作業所などをあちこちで見ているけれど、だいたい入った瞬間に、ふわっと、ここはこういうとこなんだと教えてくれる雰囲気があります。空気感というのか、見えない視線というのか。

 ハーブ・カフェらららは、とても自然でした。入りやすかったし、座ってから出るまでくつろげました。スタバなんかには決してない、穏やかな時間。
 それはきっと長年にわたりこの社会福祉法人がつくりあげてきた空気が、このカフェでも共有されているからでしょう。

 社会福祉法人SKYかわさきは、NPOだったころ精神障害者のグループホームをつくろうとして地元住民の反対にあっています。でも時間をかけて地域に定着し、いまでは表立った反対運動があるとは聞きません。ここまでの地域とのかかわり方に、運営者の資質が表れているように思います。

 カフェらららは、いまは週に2日、1日3時間しか開いていません。
 でもこういうところは、そういう“使い勝手の悪さ”を承知で出かけるのが利用者のこころがけというものです。
 そうそう、ここで焼いているクッキー、「作業所系」とは思えないおいしさでした。
(2021年3月14日)