金曜の午前は「地域ボランティア」。
診療所デイケアの活動予定表にそう書いてあります。
何するのとスタッフに聞いたら、いや名前はかっこいいんだけどそんな大したことじゃなくて、近隣のゴミ拾いくらいです、という返事。
その地域ボランティア、きょうは歩道の所々に設置してあるミニ花壇の草取りをしました。

診療所の精神科デイケアには、この日10数人のメンバーが来ていましたが、実際に作業に参加したのは半分くらい。それも、うろうろしていると思ったらもう作業をやめている。サボっているわけではなく、たんに作業がつづかない。そういう人が多いのです。
たまたまこの時間、屋内には不調のメンバーがいました。原因はわからないけど、何かにひどく怒ってどなり散らしている。外に出たのは大声から逃げたかったので、という人もいたようです。不調はまもなく終わりました。何ごともなかったかのように。

診療所近くのミニ花壇には、これからヒマワリの種をまくそうです。
去年もここにはヒマワリが咲いていました。聞けば、厚真町というところからもらって来たヒマワリだとか。
厚真町は、3年前の北海道胆振東部地震で大きな被害を受けました。そこに東日本大震災の被災地からヒマワリの種が送られてきたのだそうです。浦河ひがし町診療所がもらったのは、その由緒あるヒマワリの子孫でした。
そういうヒマワリがやってきたのは、ひがし町診療所がずっと「地域」にこだわりつづけてきたからでしょう。
厚真町で地震があったとき、診療所はすぐに車で2時間近くの距離を走り、応援にかけつけました。そして厚真町という地域に、精神科診療所としてどんな応援ができるかを考えています。瓦礫の片付けや炊き出しもしましたが、それに加え「カフェ・デ・モンク」という傾聴カフェを開きました。デイケア・メンバーも加わって。

たんなる災害ボランティアではない。はひと味もふた味もちがうひがし町診療所の継続的な応援は、厚真の人たちのこころに残りました。翌年の診療所の収穫祭には、こんどは厚真町からたくさんの応援部隊が駆けつけています。
そうした厚真と診療所の交流の、ひとつのしるしとしてヒマワリの種があるのだと、きょうぼくは診療所で聞きました。
(2021年5月14日)