ルイヴィトンとフェンディは△。
プラダとティンバーランドは×。
熱帯雨林の破壊とブランド商品の結びつきを伝えるニューヨーク・タイムズの記事を読んでの印象です(Did Your Handbag Help Destroy the Rainforest? Feb. 5, 2022, The New York Times)。

(Credit: quapan, Openverse)
ブランド品なんてまったく縁がないけれど、「高級ブランドはアマゾンの熱帯雨林を破壊している」と聞けば、ほお、どれどれ、と目を向けたくなります。
いまの世の中で、けっこう重大な犯罪じゃないか。
出発点は、アマゾンの熱帯雨林がどんどん切り倒され、焼き払われていること。牛を飼う牧場を広げ、牛肉生産とともに牛革も輸出するためです。世界中のファッション産業が、こうしてできた「汚れた牛革」を使っているのではないかというのです。

ブラジルは世界の牛革輸出の19%を占め、ファッション用牛革製品の主要生産国である中国は輸入の41%、イタリアは36%をブラジルに頼っている。それが違法な森林の伐採とつながっているのではないかと、去年11月に公表されたSRG、スタンド・リサーチ・グループという団体のレポートなどが伝えています。
森林破壊とファッション製品。
じつはこのあいだには、風が吹けば桶屋がもうかる以上の複雑な流通経路、国際経済がからんでいてなかなか全容は解明できない。SRGは衛星写真を使ったり各国の貿易統計を分析する過程で、LVMH、H&M、VFコーポレーション、ナイキ、プラダ、アディダス、タペストリー(コーチを保有する企業)、ザラといった世界的な企業の名前をあげています。

(Credit: Oregon State University, Openverse)
その結果をどう見るか。タイムズ紙の問い合わせに、ルイヴィトンやフェンディを所有するLVMHは「過去2年、ブラジルの供給者とは直接、間接にいっさいかかわっていないし、原革は100%ブラジル以外の国のものを使っている」といっています。
一方、プラダやティンバーランドは取材に答えようとしなかった。
とまあ、こういう記事の内容から、ぼくはヴィトンは△、プラダは×か、という印象を持ったのでした。
SRGの調査を進めたアンジェリン・ロバートソンさんはいっているそうです。
「ファッション産業が『もうこんなことは耐えられない』といえば、それがドミノのように伝わり効果をあげるんです」
そうあってほしい。森林破壊がこれ以上進むのは耐えられませんから。
(2022年2月8日)