やがて日本でもコロナの変異株、オミクロンが主流になるでしょう。
そうなると、やっぱりコロナ・ワクチンの“ブースター”、3回目の接種が必要かもしれません。コロナ対策の先進地、イギリスを見てそう思いました(Omicron: Three vaccine doses key for protection against variant. December 10, 2021, BBC)。

オミクロンがどれほど脅威か、ある程度わかるまでにはあと数週間かかるでしょう。とはいえ初期情報に共通しているのは、「感染力はデルタ株の2倍、でも症状は軽い」という見方です。WHOは12月6日、EUのオミクロン感染例はすべて無症状か軽症だといっています。
検査体制がいちばん進んでいるイギリスでは、10日までにオミクロンの感染が1265例ありました。全感染者のごく一部ですが、オミクロンは2日か3日で倍増しているので、遠からずコロナ感染のほとんどがオミクロンになるでしょう。
これだけオミクロン感染者がわかってきたので、ワクチンの効果も見えてきました。

イギリスで中心となったアストラゼネカのワクチンは、効果が劇的に落ちました。ファイザーのワクチンもかなり効果がなくなっている(モデルナワクチンはイギリスでは少ないので、有意な統計がないようです)。
一方、明るいニュースもあります。
ブースター、3回目の接種をした人は、オミクロンにも75%の効果があったということです。
要約すればこうなるでしょう。
オミクロン変異株は感染力は強いけれど、デルタほど重症化しないらしい。
既存のワクチンは2回打っても感染防止の効果は低い。だから3回目以降の接種をしたほうが安全。
いまのワクチンは初期のコロナウィルスに対して90%以上の効果があったことを考えれば、オミクロンに対しては3回接種でも75%という“防御率”は、やはり低いといわざるをえない。いずれ新型ワクチンが必要になるでしょう。

来年になり、ワクチンだけでなく治療薬が使われるようになれば全体の風景は一変します。そういう状況の変化に合わせて、ぼくらはつねに自分の知識と理解をアップデートしなければならない。
でもそこで銘記すべきは、先進国だけがワクチンをしてもコロナは終わらないということです。途上国にも広くワクチンを配布し、世界全体でワクチンの接種を進めないかぎり、次々と変異株が現れるのを止めることはできない。それがデルタやオミクロンの教訓です。
(2021年12月11日)