こんなところで、こんなことが起きている。
時代は変わっているんだ。
そう思わせてくれたのが、メキシコで歴史上はじめて、国会議員の半分が女性になったというニュースでした(Mexico’s bold break with machismo: Congress is now half female and gender parity is the law. September 6, 2021, The Washington Post)。

ポスト紙のマリー・ベス・シェルダン記者が書いた記事にはこうあります。
「これはメキシコにとってありえない成功だ。選挙ではいつもひどい女性蔑視があるというのに、過去6年、地方でも国政でも多くの女性が立候補している。マッチョなイメージが定着したこの国が、いまや男女平等で世界のリーダーになった。アメリカより進んでいるのだ」
メキシコ議会下院はいまや50%が女性。対してアメリカ下院は27%にすぎません。
日本? はずかしくていえませんよね。衆議院で10%ですけど。

メキシコはかつて女性の参政権もありませんでした。それが2019年の野心的な憲法改正で、司法、立法、行政をふくむ「すべての分野での平等」がうたわれたのです。反対する議員はゼロ。ここまで明確に平等を規定した憲法は、ほかのどの国にもありません。
もちろん法律ができたからといってすぐに男女平等になるなんてことはない。けれど法律ができたことで、社会の地殻変動がはじまりました。
「女性はこの国で二級市民だった。女性が政治家になるなんて狂気の沙汰といわれてきた」
メキシコでは、女性議員は1990年には15%しかいませんでした(え? それでもいまの日本より進んでるんだ)。
そこからの改革を進めてきたのは、党派を超えた女性政治家、運動家、法律家、学者たちのの広範な連帯だったといいます。30年におよぶ運動で、ことし、ついに国会議員の50%が女性になりました。

改革はさらに進みます。大統領や知事は今後、大臣などの行政官の半数を女性にしなければなりません。司法の分野でも女性判事を3倍に増やすことになっています。そのために女性だけの選考委員会が設置される。政党も、候補者の半数を女性にしなければならないので、ジェンダー平等の動きはさらに進むでしょう。
公的なしくみで男女平等が達成されたといっても、DVなど女性に対する暴力はむしろ増えている。課題は山積。でもさまざまな分野のトップに女性が現れることで、メキシコは変わるでしょう。
日本にいるぼくらの想像をはるかに超えて。
(2021年9月9日)