女優のミア・ファローさん、といっても知らない人が多いでしょうか。
76歳、映画「ローズマリーの赤ちゃん」など50本もの映画に出演した往年のスターで、アフリカの孤児救済などに尽力した社会活動家としても知られています。
そのファローさんがワシントン・ポストに寄稿し、「IOCとスポンサー企業は、中国の人権侵害の共犯だ」と厳しく非難しました(Opinion: The IOC and sponsors of the Beijing Games are complicit in China’s human rights abuses. By Mia Farrow, Feb. 1, 2022, The Washington Post)。

(Credit: david_shankbone, Openverse)
国際的な人権侵害のような問題を有名人の発言に乗って語るのは軽薄かもしれませんが、中国を恐れて多くの人が口をつぐんでいるとき、よくぞいってくれたと思うので紹介します。
ファローさんは中国のジェノサイド、民族虐殺についていいます。
「新疆地区では、300万人のウイグル人やカザフ人などのイスラム教徒が拘束され強制収容されている。2019年までに88万人のウイグル人の子どもが親から引き離され、国の施設に送られた。・・・無法な殺戮、拷問、行方不明、強制的な不妊手術や中絶が行われている」
そういう国で、なぜIOCやスポンサーの大企業はオリンピックを開くのか。ファローさんは、IOCとスポンサー企業は中国が行っている民族虐殺の共犯者だと厳しく批判しています。

(Credit: hdptcar, Openverse)
さて、このファローさんの寄稿の1日前、31日付のポスト紙にフジ・トルディ (Huji Turdi) さんという在米ウイグル人研究者の寄稿が載っていました。彼は北京に行くオリンピックの選手団に呼びかけています。
・・・私はウイグルにいる妹に最後に電話したのは2017年だった。それ以来、何度電話してもいっさいつながらない。家族親戚友人、誰にも連絡が取れない。強制収容所ができ、ウイグル人が次々に収容所されていると聞き、心配でならない。私だけではなく、海外にいるウイグル人はみな2017年から現地と連絡が取れなくなっている。
選手団のみなさん、誰か私の家族と連絡をとってはくれないだろうか。
それが危険なら、せめて宿泊施設のベッドシーツを使わないでほしい。それはきっとウイグル人が強制労働でつくった綿だから。あなたがシーツを丸めて横にどけておけば、ウイグル問題を気にかけていることになる。だからどうか・・・
ファローさんの寄稿は、ストレートな異議申し立てで背筋が伸びます。
トルディさんの寄稿は窮状がしのばれ、遠くを見てしまいます。
オリンピックについては、こういうさまざまな声があります。
(2022年2月2日)