ロシア人がロシアから逃げ出しています。
ロシアから隣国フィンランドに、車や列車で脱出するロシア人が相当数に上っている。その理由に愕然とします。ロシアには戒厳令がしかれる、そうなったらおしまいだからその前に逃げ出すというのです(War in Ukraine: The Russians leaving Russia for Finland. March 4, 2022, The Washington Post)。
ロシアとの国境にあるフィンランドのヴァアリマーという町には、ロシアから出国する車が列をなすようになりました。
ある若い女性は幸運にもEUのビザを持っていので出てきたといいます。
「ウクライナにいるのは家族のような人たちなんです。殺したりすべきじゃない」
恐ろしい政府があるかぎりロシアにはもどらない、大部分のロシア人は戦争を望んでいないが、反対することもできない、投獄されるから、ともいっています。

列車で逃れる人もいます。ロシアのサンクトペテルブルクからヘルシンキに着く列車は、高い乗車券にもかかわらず満席です。経済制裁がロシアに打撃を与えていても、プーチン大統領が戦争をやめる見通しはない。状況が悪くなれば戒厳令になるとみている。
これからイスタンブールに行くという女性がいいます。
「私は30歳で、最悪のときは知りません、迫害や秘密警察なんかは。でも明確な恐怖を感じる。いま出なかったらもう出るチャンスはなくなると」
戒厳令が出ればすべてはプーチン大統領の思い通り、反戦デモは消え、秘密警察、弾圧、密告の暗い社会になるだろう。そう思いつめた人びとがロシアをあとにしています。
そういう人はすぐれたメディア・リテラシーがあったから出てきたのでしょう。
そこまでの力は大部分のロシア人にはない。政府の情報操作で、ウクライナで起きていることは戦争ではなく軍事演習だと思っている。ロシア軍はテロリストと戦うために行動していると思いこんでいる。
ロシアの親戚に電話したウクライナ人は、いくら説明しても戦争が起きているとはぜんぜん信じてもらえないとなげいていました。

(ゼレンスキー大統領 Facebook から)
太平洋戦争に突入したときの日本とおなじです。
恐ろしいのは、いっぺん独裁政権ができればそれをくつがえすのは至難の業だということです。外からどんなに支援しても、ロシアはもちろんミャンマーも中国も北朝鮮もかんたんに体制が変わることはない。そもそも外からの支援ができなくなる。それを誰よりもよく知っているから、ウクライナ人はいのちがけでロシアに抵抗しています。
(2022年3月7日)