いまあるワクチンは、コロナの変異株、オミクロンの感染を防げないとニューヨーク・タイムズがいっています。オミクロン株の猛威で、世界中のコロナ対策が変更を迫られています(Most of the World’s Vaccines Likely Won’t Prevent Infection From Omicron. December 19, 2021, The New York Times)。

どうやらデルタ株は抑えたと、各国が規制を緩和したばかりのこの時期、いやいやオミクロンの登場で、コロナはまた振り出しにもどるんじゃないか、というイヤな気分が広がってきました。
その気分を最初にかきたてたのは12月17日のワシントン・ポスト報道でしょう。
デンマークが新たなコロナ危機を迎えようとしていると、ポスト紙が伝えたのです(Denmark says the pandemic’s toughest month is just beginning. December 17, 2021, The Washington Post)。
あのデンマークが? と注目されました。
国民の78%がコロナワクチンの接種を済ませているワクチン先進国、デンマークで、オミクロンの感染者が2日で2倍になるペースで増えつづけている。ファイザーとモデルナのワクチンをしていても感染するケースが多いからでしょう。

デンマーク国立血清研究所の疫学部門の責任者、ティラ・グローブ・クラウスさんは、数週間でデンマークの病院にはかつてない数のオミクロン株感染者が押し寄せると予測しています。
「医療機関は圧倒される、まちがいなく」
コロナ対策の先進国であるデンマークがこうなら、他の国がどうなるかは推して知るべしでしょう。
タイムズとポスト両紙の報道をまとめるとこうなります。
1)オミクロン株に対し、ファイザーとモデルナのワクチンはある程度「感染防止」の効果がある。しかしそれ以外のワクチンはほとんど、あるいはまったく効かない。
2)ファイザーとモデルナのワクチンをしている人は、オミクロンに感染しても「重症化」しないケースが多い。とはいえそれはまだ感染者が少ないからで、これからどうなるかはわからない。
3)感染や重症化を避けるために、ブースター、追加接種をした方がいい。

日本にもすでにオミクロン株は入っているので、いずれデルタ株に代わって主流になるでしょう。問題は、これまでデルタ株にはかなり効いていたワクチンがの効果がだいぶ落ちるということです。
また「緊急事態」の日々にもどる可能性が、現実味を帯びてきたかもしれません。
(2021年12月20日)