ワクチン後もマスクを

 ワクチンを打ったらもうマスクはいらない。
 と思っていたら、そうじゃない、やっぱりマスクはしなきゃいけないと、アメリカの最新の研究結果が告げています。

CDC(米疾病対策センター)

 アメリカでコロナ対策の中心となるCDC(疾病対策センター)がこのほどまとめた調査結果によると、ワクチンを打った人もコロナウィルスのデルタ変異株に感染することがあり、その場合、病気にならなくてもけっこうな量のウィルスを周囲にまきちらすということです。つまりワクチンを打っていても、デルタ株の感染を媒介するということです。

 CDCは従来、ワクチンを打った人に対するマスク着用の指針をゆるめていました。新しい調査結果が出たことで、この指針は変わるでしょう(Behind the Masks, a Mystery: How Often Do the Vaccinated Spread the Virus? July 29, 2021, The New York Times)。

 ニューヨーク・タイムズによれば、新しい調査の元データには、7月4日にマサチューセッツ州プロビンスタウンで起きた大規模なクラスターが含まれています。独立記念日を祝ったこのお祭りでは、882人が感染したことがわかりました。そのうち4分の3はワクチンの接種を終えた人たち。いわゆる「ブレークスルー」のケースでした。
 いくつかのブレークスルーの調査でわかったのは、ほとんどの人はワクチンのおかげで病気にならないけれど、感染によって相当量のウィルスを保持し、周囲にウィルスをまきちらしているようだということです。
 これは従来型のコロナウィルスでは見られない現象で、デルタ変異株になって見られるようになった現象だといいます。

 こうしたことからCDCは、ワクチンを受けた人でも屋内で人が密集するようなところでは、そしてまたワクチンの接種をしていない人がいるところでは、マスクをするようにと、これまでとは異なる強い勧告を出すもようです。

 ワクチンが進めばマスクともおさらばできると思っていたのに、そうかんたんではないようですね。ちょっとがっかり。
 それもこれも、ワクチンが追いつかずに感染が広がり、変異株が生まれたせいです。
 デルタ株よりもさらに強力な変異株が出現するまえに、おとなだけでなく子どもにも、そしてまた先進国だけでなく途上国でも、さらにワクチンの接種を進めなければなりません。
(2021年7月30日)