五輪をテレビで見ない

 北京の冬季五輪に、もっと反対の声があがってほしいと思います。チベットやウイグルや香港で、また中国国内でも、存在を否定されている何百万もの人がいるのに、そのすべてを覆い隠すお祭り騒ぎになろうとしているから。
 日本政府は外交ボイコットをしないし、選手たちは何事もなかったかのようにオリンピックに参加するでしょう。無力感がつのりますが、わずかでもできることはある。

 ワシントン・ポストが、「オリンピックのテレビを見るのをやめよう」と主張しています(12月27日)。ニューヨーク・タイムズが、「五輪スポンサーの責任を問おう」といっています(12月8日)。それくらいなら、ぼくにもできる。

 ポスト紙はいいます。
 アメリカ政府は外交ボイコットをした。何もしないよりはいい。私たちもまた「世界でもっとも抑圧的な政権のお祭りをボイコットする」ことができる。北京五輪のテレビを見ないことで。その時間は本を読むか、散歩にでも出ようではないか。
 オリンピックを独占中継する「NBCユニバーサル」テレビは、北京五輪など6回の大会の中継料としてIOC(国際オリンピック委員会)に8千億円以上を支払っています。金まみれのオリンピック、金まみれのIOCを支えているのは、このテレビ中継です。だからそんなテレビ、見るのをやめようというのがポスト紙の提案です。

 ちなみにポスト紙は、北京五輪を「虐殺五輪(ジェノサイド・オリンピック)」と呼んでいる。習近平体制によるウイグルでの民族虐殺が、いま現在も進んでいるという認識のもとに。

 一方タイムズ紙は、オリンピックを支えるもうひとつの柱、スポンサー企業を批判しています。
 いちばんの対象となっているのは、スポンサーのなかでももっとも貢献度が高い13のグローバル企業です。コカコーラ、VISA、プロクター&ギャンブルなど。

 このなかには日本企業が3社、入っています。ブリジストン、パナソニック、トヨタ。

 これらの企業は、金まみれのオリンピックを支え、中国政府、中国共産党に「貢献」している。ことにパナソクックは、ウイグル問題についてたずねた在日ウイグル人団体に返事もしなかった。そのことはこのブログでも書きました(4月13日)。
 汚れたオリンピックを支える企業。その名前をあげたからといって、何が変わるわけでもない。でも何かの折にぼくはいいます、あ、それ、IOCといっしょの企業ね、と。
(2021年12月30日)