緊急事態だといわれても、ああそうですかというしかない。
県外に出るなという人もいるらしいけれど、出なければ疫病が消えるわけでもないし。
というわけで、かねて予定していた北海道に出かけました。

飛行機はほぼ満席、でもそれは減便しているせいでしょう。空港に例年の混雑はありません。外国人観光客はいなくてもビジネスや里帰りの人たちはいて、そういう人たちにしてみれば県境を越えるのは日常のこと。政治家に緊急といわれても緊張はなく、庶民にしてみれば自分たちの暮らしはつづくという感覚が強いんじゃないでしょうか。どっちも、相手は本気じゃないと思ってる。

今回は妻と二人、レンタカーでの移動。千歳空港を出てすぐ、ウトナイ湖の道の駅に寄りました。早い時間だったせいか、食堂に人影はまばら。でもあちこちに「黙食」って張り紙があります。
黙って食べろ、っていうんですね。
なんだか気分が沈む。
こんな紙貼ったら暴動が起きる国もあるけれど、この国はみんなおとなしい。「うっせーな」っていいたくても、そういう気分を回収してしまう同調圧力。それに抗うのはつねに、すでに少数派です。

道の駅には新しく展望台ができていて、ウトナイ湖全体が見渡せます。ちょっと前なら白鳥がたくさんいたはずなのに、もうシベリアに旅立ったのでしょうか、姿がない。
誰もいない。
北海道はまだ冬景色。
と思ったら、柳はうっすら芽を吹いているし、フキノトウは花が終わって文字通り塔が立っていました。

午後1時過ぎ、浦河に到着。山小屋とそこに置いてある車が動くことを確かめ、買い物を済ませました。これれからレンタカーを返却し、山小屋で2週間の自主隔離に入ります。
(2021年4月24日)