イスラエル、33%。
イギリス、20%。
アメリカ、12%。
コロナ・ワクチンの接種状況です。もちろん、日本はゼロ。
イスラエルでは2月はじめまでに全国民900万人の3分の1の接種を終えました(ニューヨーク・タイムズ、2月5日)。
60歳以上の高齢者を優先し、コロナ感染は3週間で41%減ったといいます。ワクチン接種が進めば、感染はさらに減るでしょう。この調子なら春にはコロナ危機を抜けだしたといえるかもしれない。

イスラエルが「脱コロナ・レース」の先頭に立ったのは、早くからワクチン確保に大胆な戦略を取ったから。実験段階のワクチン開発に協力し、大量の治験データを製薬会社に提供する代わりに、優先的にワクチンの供給を受けることにしたためです。
「戦いに勝つ」明確な戦略がありました。

主要国の先端を走るのはイギリス。2月半ばまでに70歳以上の高齢者全員に接種する目標を達成するようです(BBC、2月11日)。
イギリスが大胆だったのは、ワクチンの接種を2回から1回にしてしまったこと。1回でもかなりの効果があるから、できるだけ多くの人にまず1回接種という戦略を取った。見かけ上、ワクチンの量は倍に増える。社会全体の「集団免疫」は向上する。トンネルの出口が見えてきました。
日本みたいな国ではまず議論にならない、戦略的な発想の転換がありました。

3番目がアメリカ。14日時点で、全国民の12%が1回の接種を終えました。
トランプ政権の混乱で死亡者はまもなく50万人になるけれど、バイデン政権になってワクチン接種が軌道に乗っています。
ウェスト・バージニア州ではワクチン接種を終えた老人ホームが再開され、入居者が「これで孫に会える」とよろこぶ姿が報道されています(ニューヨーク・タイムズ2月12, 14日)。
なるほど。
それぞれの国の「危機を超える力」が反映されている。

でも、全体の見通しは決して明るくない。
すでにコロナ・ウィルスは変異しており、イギリス型の変異株(B.1.1.7.)はともかく、南アフリカ型変異株(B.1.351)にはワクチンが効かない可能性が現実になっているからです。ワクチン対ウィルスの戦いは10年つづくと、ケンブリッジ大学のシャロン・ピーコック教授は見ています。
日本ではどこでも役所ことばで「新型コロナウィルス」というけど、あれ、やめた方がいい。
世界では新型の新型がいっぱい出ているんだから。
(2021年2月15日)