いろいろな人のカフェ

 久しぶりに朝カフェに行ってきました。
 浦河ひがし町診療所の共同住居「すみれⅢ」で、ときどき開かれる土曜日朝のカフェです。
 いろいろな人が来ました。はじめての人も常連も、スタッフもメンバーも近所の人も。
 8時から10時過ぎまで、ぜんぶで30人を超したでしょうか。つくりたてのサンドイッチとスクランブルエッグ、わかめスープ。コーヒーだけ楽しむ人も。それぞれさまざまな出会いがありました。

 すみれⅢは5人のメンバーが住んでいます。いずれも幻聴や妄想など、かなりの苦労を抱えています。そういう5人がすでに10か月以上、ここで共同生活をつづけてきました。
 ただ寝て起きて食べて、という暮らしではありません。その合間に、こうして朝カフェがあったり、鍋会やバーベキュー、焼き芋会があったり。もちろんミーティングも。そのたびにいろいろな人が集まるようになりました。精神障害者もそうでない人も、何だかわからない人も。そのごちゃごちゃ感が、独特の空間をつくってきました。

 きょうの朝カフェも、住人はほとんど手を出していません。診療所のスタッフやデイケアのメンバーが「すみれⅢでカフェ、いいね、やろう」といってはじめ、つづいているものです。こういう人たちが、こういう形でかかわっている、そして全体としてとても楽しい時間、空間を生み出している。そこにいる一人ひとりが、エンパワーメント、内からの力を与えられている。これは地域の暮らしの、ひとつの理想ではないかとぼくには思えます。

 住人のひとり、柳一茂さんがいっていました。
 ぼくらだけで過ごしてたら、引きこもったりトラブル起こしたり行き詰まったりしたかもしれない。でもなんとかやって来れたのは、いろんな人が来るようになったから。そういう人がぼくらのあいだをつないで、クッションになってくれてるみたいで。

 田中孝治さんに、外からたくさん人が来て迷惑じゃないですかと聞いたら、いえ、そんなことありません、ありがたいですといっていました。外交辞令ではなく、ほんとにそう思っています。長年、統合失調症とつきあってきた田中さんは、ひとりでこもっていても出口はない、いろいろな人が来てくれることが大事と、身をもって知っています。

共同住居「すみれⅢ」

 精神科医の川村敏明先生はいいます。
 支援する、支援される。そのあいだにはっきりした区別がない。こういうところで大事なのは、そこなんですよね。
(2021年11月20日)