子どもが光っていました。感動です、見てください。
ソーシャルワーカーの伊藤恵里子さんがそういってきたので、2月13日に行われた「子ども当事者研究」のビデオを見ました。いや、子どもってすごい。
この“当事者研究・子ども版”は、北海道浦河町にある「べてるの家」がオンライン形式で企画したものです。7歳から13歳の子どもたちがひとりずつ、家庭や学校でのいじめやトラブルを「研究」して発表しました。
タイトルからして、おっ、と思います。
「どん底に落ちてはい上がる研究」
「おとうさんの圧研究」
「「キモイ」の研究」・・・
たとえば学校でいじめにあい、不登校で“どん底”に落ちた小学生は、どうすれば助かるかとは考えなかった。どうすると自分は“どん底に行ってしまうのか”を考えました。そして「相談しないと、どん底に落ちる」と気づきます。
ネットで自分のことを話すようになり、親とも話すようになって、彼は少しずつ自分を取りもどしました。
「キモイ」といわれ、集団でのいじめにあっていた中学生は、「がまんすることが強いことじゃない」と発見します。そして「逃げる」ことを考えたとき、逃げるのは「大切にされる場所に移動する」ことなんだと気づきました。
彼はいいます。「傷つかないようにするのは、自分だけではできない」。
自分はキモイんじゃなく、キモカワイイになればいい。
こんなすごいことばを、中学1年生がいう。ぼくはとてもかなわない。

子どもオンライン当事者研究には、浦河ひがし町診療所の伊藤恵里子さんや、精神科医の川村敏明先生もコメンテーターとして参加していました。二人とも子どもたちの研究に感動し、ここには世代を超えたテーマがあるといっています。
子どもたちがこうした研究を発表できるのは、安心して自分のことを話し、相談できる場がどこかに、わずかでもあるときです。
多くの人にとってそういう安心の場が、相手がほとんど見いだせない社会をぼくらはつくりだしてないだろうか。子どもたちの声が聞こえます。
(2021年2月24日)