出かけるときはいつも、かならずマスク着用?
考え直したほうがいい、とニューヨーク・タイムズがいっています。これからは暑くなって不快でもあるし(Debatable: Is it time to end outdoor masking? April 20, 2021, The New York Times)。
屋外で、しかも人のいないところでマスクをするのは意味がない。
人がいても、密な接触がなければいい。
じゃあどのくらい密で、どのくらい接触があればマスクは必要なのか。

ハーバード大学のポール・サックス教授は医学誌NEJMに書いています。
「人がひとりで散歩するとか、ハイキング、ジョギングしていて、やはりひとりの人と一時的にすれちがうような場合、感染は起こらない。自転車に乗ったマスクなしの人とすれちがっても危険はない」
メリーランド大学のドナルド・ミルトン教授もいっています。
「ジョギングに出るとき、犬の散歩をする人がちらほらいる程度ならマスクはしない。でも立ち止まって誰かと話をするときのために、マスクは持って出る」
屋外でマスクが必要なのは、ライブや満員のスポーツイベントのように密で長時間、他人と近接して飛沫を受ける場合です。それ以外はマスクをしても意味のないことが多い。

一方、日本はあまりに一律的で、状況に関わらず「屋外でもマスク」です。ほとんど人のいない公園や通りでも、マスクしたまま歩いている人ばかり。
それはむしろ危険なことだと、社会学者のゼイネップ・トゥフェクチさんはいいます。
「屋外でも常時マスクというのは、ほんとうの危険を隠してしまう。屋内、密で換気のよくないところがつねに危険だということ、そのことがぼやけてしまう」

これが肝心なところです。
どうでもいいような危険と、ほんとうの危険をごちゃまぜにしてしまう。
日本にとってほんとうの危険は、ワクチンがないのに社会を開いていることでしょう。
それはなぜかの説明がないまま、「緊急事態」だとか「まんぼう」をやったりやめたりする。民はもうどうでもいいやと、以前の日常にもどろうとする。
マスクは何のためにするのか。
些末なようでも、考えつづけるところからぼくらの置かれた状況が見えてきます。
(2021年4月21日)