日本なら、公文書の性別欄にあるのはかならず「男」か「女」です。その2つしかない。
アメリカでは、男の「M」か女の「F」。でも、これからは男でも女でもない、つまりMでもFでもない「X」という表示が広がるでしょう。運転免許証やパスポートには、性別欄に3つの記号が現れることになる。M、F、X、のいずれかが。
もちろんXは、LGBTQ、セクシュアル・マイノリティの人たちが選択できるように新設されるカテゴリーです。

M、Fの「2択」ではなく、アメリカはXも含めた「3択」社会に向かう、とニューヨーク・タイムズが伝えています(M, F or X? American Passports Will Soon Have Another Option for Gender. June 30, 2021, The New York Times)。
タイムズの記事によれば、ブリンケン国務長官は30日、アメリカのパスポートには今後、男、女以外にXという性別を表示できるようにすると声明で明らかにしました。性別についても多様性を認めるのは、バイデン大統領の選挙期間中からの公約に沿った改革です。
事務手続きの問題があって即時ではないけれど、すみやかに実施したいということでしょう。

性別欄に男女だけでなくXを認めるのは、現実の反映でもあるようです。アメリカではすでに20州で運転免許証の性別欄にXがあり、また海外に目を向ければ、パスポートにX欄を認める動きはすでにカナダ、オーストラリア、アルゼンチン、ネパール、ニュージランドで進んでいるといいます。
セクシュアル・マイノリティの人びとにしてみれば、免許証にXとあるのにパスポートにはMかFしかない、というのはなんだか嘘をついているみたいだということになるのでしょう。

「X」。
日本語だったら「諸」とか「他」になるのかな。
LGBTに対する「理解を進める」法案すらつくれなかった日本には想像もつかない事態。マイノリティはまだまだ戦いをつづけなければなりません。
(2021年7月1日)