机を拭いても、意味がない。
アメリカで、これまでのコロナ対策の転換が発表されました。
コロナは空気感染であり、接触感染はほとんど起こらないから、ドアノブを拭いたり机や椅子を拭くのはやめようという呼びかけです。それよりは、手洗い、マスクとディスタンスです。
CDC(疾病対策センター)の最新研究報告をニューヨーク・タイムズが伝えました(Has the Era of Overzealous Cleaning Finally Come to an End? April 8, 2021, The New York Times)。

それによると、コロナ・ウィルスの接触による感染は従来考えられていたよりもはるかに低く、ドアノブや机などの表面に触れて感染する可能性は「1万分の1以下」です。それも実例があったわけではなく、あくまでも推定にすぎません。
ということは、これはぼくの見方ですが、1万分の1以下であっても感染の可能性はある。でもそれも手を洗えば問題はない。手を洗わなくても時間がたてばウィルスは消える。いいかえれば、ドアノブや机にウィルスをなすりつけて意図的な感染を引き起こそうとしても、まずできっこないってことです。それくらい、接触感染の可能性は低い。
だったら、ホテルの部屋や電車の車内を消毒するのは、意味がない。

「そんなの、とっくにわかってる。だのにみんな拭き消毒をつづけてるのよね」
バージニア工科大学のリンゼイ・マーさんら感染の専門家は、いまさらのニュースにあきれているとか。
「だいたい、汚染された表面に触って感染した証拠なんてひとつもないんだ」
ラトガーズ大学の微生物学者エマニュエル・ゴールドマンさんも、すでに昨夏こうした研究を発表しています。
「触って感染なんてほとんどない、いやゼロ。これは呼吸で伝わるウィルスなんだ」
CDCが新しい報告を出し、それがホワイトハウスで発表されたことで、アメリカのウィルス対策はまたひとつ現実に合わせた姿に変わるでしょう。椅子や机を拭く、電車やタクシーを消毒するなんて無駄なことはやめようと。
じゃ日本はどうなのか。
「みんながしてるから」じゃなくて、「何かあったらどうするんだ」じゃなくて、ものごとを進めてほしいんだけど。
(2021年4月9日)