横浜に帰着

 北海道浦河町から横浜市の自宅に帰り着きました。
 年末のせいか、浦河から札幌までのバスは3割くらいの乗車率。コロナになってからガラガラだったのが、少し乗客がもどってきたようです。

 千歳空港も、かつてのにぎわいはないけれど、去年のいまごろにくれべればいい方でしょう。去年は感染防止でピリピリしていたのが、もうそこまでの緊張感はない。空港ではみんなマスクをしているけれど、ディスタンスなんか守っていない。ターミナルの食堂でもエアラインのカウンターでも、行列の距離がなくなりました。
 このままコロナ以前にもどるのか、それともまたオミクロン感染で巣ごもりに向かうのか、いまは踊り場のようなところかもしれませんね。

 札幌に行くバスのなかでBBCのニュースを読んでいたら、今回のオミクロン変異株は南アフリカのHIV(エイズ)感染者から出てきたという説が目に止まりました(Omicron: South African scientists probe link between variants and untreated HIV. December 20, 2021, BBC)。

 HIVに感染し、免疫系に異常をきたしている人はコロナに感染してもすぐには治らない。なかには感染が8か月もつづいた人がいる。そういう持続感染が起きると、患者のなかでコロナウィルスは時間をかけて変異をくり返すので、オミクロンのようなきわめて多くの変異の積み重なった変異株が生まれる、ということです。

 免疫系に異常をきたした人は、HIVだけでなく自己免疫疾患や結核の患者、がんの治療を受けている人など、さまざまな人が候補になりますが、そういう人のなかでコロナウィルスは変異しやすい。去年9月にイギリスで出現したアルファ変異株も、治療中のがん患者からはじまったとみられているようです。

 科学的にはじつに興味深い研究です。もっと研究を進めてほしい。
 でもこうした研究は注意深く進めないと、HIVやがん患者への差別偏見に結びつきます。
 今回、オミクロンとHIVの関連を解明しているのは南アフリカのウィルス研究者ですが、彼らは自分たちの研究がはらむ倫理的な問題について十分配慮している。それがBBCの報道からは見てとれます。

 意外と、といったら失礼ですが、南アフリカの研究はしっかりしていると感心しました。
(2021年12月21日)