日高山脈の残雪が消えました。
例年よりちょっと早いかもしれません。
今週末の田植えを控え、浦河ひがし町診療所の準備作業が進んでいます。数日前から田んぼに水を入れはじめました。だいぶたまったところで泥をならす作業と、田んぼの周囲に電柵(動物よけの電気柵)を張る用意をすることになりました。
作業に出たのは診療所デイケアのメンバーとスタッフ、それに大学と看護学校の研修生、ぜんぶで十数人です。

電柵の作業は、すでに何回か経験のある田中孝治さんが中心になりました。
田んぼの四隅、水から一歩離れたところに黒い太めの支柱を立て、その支柱のあいだに細い支柱を等間隔に立ててゆく作業です。田んぼのまわりは土が柔らかいので、支柱はちょっと体重をかければ差し込めます。
あとは電気コードを張るだけ。でもその前に田んぼにトラクターを入れるので、コードは張らずにおくことにしました。

その間、別の何人かが田んぼに入り、泥をならす作業です。
水を張ると、田んぼの土には起伏があることがわかります。泥が頭を出ているところ、盛りあがっている部分をスキでかき落とし、平らにしてゆきます。
田んぼの水はすでに入れて数日たつので、思ったより温かい。

なかに入ったスタッフが、「気持ちいいよ。お風呂みたいだから入りな」と岸で見ているメンバーに声をかけていました。
それで入る人もいれば、入らない人もいる。
そういうメンバーの姿を見て、研修生も影響されます。まじめに動く人もいればぼやっと立っているだけの人もいる。
それが自然に思えるデイケアのやわらかい空気。見方によってはいいかげんで、やる気がないというか極限なまでのアツのなさ。これが大事な意味あることだと気づく研修生が、さて何人いるか、いないか。ちょっと気にはなるけど、そんなことを気にすることじたいが「非デイケア的」でしょう。

田んぼ作業をしているあいだも、川村先生の家のビニールハウスでは苗がしっかり育っています。ことしは全般に気温が高く、苗の育ちが良好だと“米担当のソーシャルワーカー”、木村貴大さんがいっていました。診療所の田んぼでできるゆめぴりか、“幻米”の味わいがさらに深くなるかもしれません。
(2022年5月18日)