2030年までに、国内便の飛行機はすべて水素で飛ぶようにする、とデンマークが打ち上げました。もちろん温暖化対策のためです。
コンブのバイオ燃料で飛行機を飛ばすという研究はこのブログでも紹介しましたが(12月2日)、水素というのは知りませんでした。よく読むとこちらの方が実現性がありそうです(Denmark to make domestic flights fossil fuel free by 2030. 2 January 2022, BBC)。

デンマークは二酸化炭素の排出を2030年までに70%減らすことを目標にしており、航空燃料の石油から水素への転換はその一環です。
「旅は生きることの一部、だから私たちは飛ぶ」というメッテ・フレデリクセン首相は、「グリーンな飛行」を8年後に実現したいといい、さらにこういっています。
「各国の動きはあまりに遅い。デンマークはその先頭に立ち、さらに目標をあげなければならない」

(Credit: News Oresund, CC BY 2.0.)
旅は生きることの一部。
なんと文学的なと、目が止まります。
だから私たちは飛ぶ。そのために・・・
やってみようと目標を掲げる。できない理由を百あげるのではなく、困難だけれどみんなで向かおうと呼びかける、これぞ政治家のあるべき姿とぼくは感心します。それはフレデリクセン首相が44歳の女性という、日本の政治家とはかけ離れたパーソナリティだからでしょうか。
8年後に水素飛行を実現するには、高いハードルがあります。が、不可能ではない。
BBCによれば、ヨーロッパではすでにゼロアビア社という企業が2020年、イギリスで水素燃料を使った6人乗りの小型機の飛行に成功しています。次の段階は20人乗りの中型機を飛ばすことだとか。
世界最大の航空機メーカー、エアバス社も2035年までに大型ジェット機の水素燃料による飛行を実用化したいといっています。第1段階は乗客100人で航続距離1850キロだけれど、最終的にはいまの国際線ジェット機とおなじ規模の飛行を考えているようです。

技術的には可能。
しかし水素燃料は、現段階で化石燃料に経済的な面で太刀打ちできない。
結局「高いからやめよう」になるのか、「高くてもやろう」になるのか。そこには複雑な要因がからみあいます。「やろう」という方向に動き出したとき、太陽光や風力などの代替エネルギーの価格は下がり、化石燃料は高騰するかもしれない。複雑な動きを少しずつ動かしていくのは政治でしょう。
(2022年1月5日)