横浜で、ウイグルの人びとを支援するイベントがありました。
「21世紀の「ジェノサイド」ウイグルの真実パネル展&講演会」です。
晴れた気持ちのいい日の午後、こんなひどい話を聞きたくはないなあと、ため息をつきながら出かけました。
ぼくに何ができるわけでもない、どうなるものでもない。
でも無関心よりは、せめて振り向くくらいはしよう。それに、たくさん人が集まれば日本にいるウイグル人も少しは気を取り直すだろうし。

そんなことで出かけた会場には、「ジェノサイド」ということばが前面に出ていました。
ジェノサイはいまやウイグル問題の代名詞です。民族虐殺とか大量殺戮を意味することばで、かつてナチスが行ったホロコースト、ユダヤ人大虐殺とおなじだという主張です。
それは誇張ではないと思う。
講演会ではウイグル人のイリハム・マハムティさんが、もう4年も故郷ウイグルの家族と連絡が取れないといっていました。自分が電話をすれば、家族は中国当局に拘束される。生死すらもわからないといいます。
大学の学長や教授ら知識人は根こそぎ連行されてしまった。ウイグル全土に1千か所もつくった強制収容所を、中国は職業訓練所だといっている。でも「80歳の老人に職業訓練してどうするんですか」とマハムティさんは力なく笑っていました。

(ウイグルはかつて独立国家だった)
パワーポイントで写される多くの顔写真がありました。中央アジアの、人なつこい顔をした人びと。彼らを指さしてマハムティさんはいいます。「この人、この人、この人も、死刑になりました」
死刑は裁判があったからわかる。でも実際には行方不明というか、消息不明の人のほうがはるかに多い。想像もつかない話ですが、聞いていると息が詰まります。

アメリカの一部メディアは、来年2月に北京で開かれる冬季オリンピックを「ジェノサイド・オリンピック」と呼ぶようになりました。
中国がオリンピック精神を体現する? 冗談でしょ、と。
その一方で、ボイコットすればいいという単純な議論は少数派のようです。オリンピックという場をとおしての、「イメージの戦い」がはじまるのでしょうか。
そういう動きは無視して、ひたすらこの夏の大イベントにしか目が向いていない国もあるけれど。
(2021年4月11日)