LGBTQだけじゃない、世の中には「ノンバイナリー」という人たちがいます。
男でも女でもない、そもそもそういう分類を拒否する人たちです。
バイナリー、二分法に、あてはまらない人たち。
などというと、えらそうなオッサンたちが「いいかげんにしろ!」って沸騰するだろうな。どうでもいい、わけのわからない奴らがあれこれ出て来おって。
でもね、わけがわからなくて混乱するのはオッサンたちの自縄自縛です。世の中を男と女に二分するからいけない。男女の分類をやめれば、世の中はずっとスッキリわかりやすくなります。
少なくとも履歴書や公文書の「男女の申告欄」はやめた方がいい。

そんなことを考えたのは、「アメリカには百万のノンバイナリーがいる」という、初の調査結果が出たからです(More than 1 million nonbinary adults live in the U.S., a pioneering study finds. June 22, 2021, The Washington Post)。
ワシントン・ポスト紙が伝えるこの調査結果は、LGBTQを調査研究するウィリアム・インスティテュートがまとめました。
それによれば、「ノンバイナリーのLGBTQ」はアメリカに約120万人いるそうです。LGBTQ全体は900万人という推定もあり、ノンバイナリーはそのなかでも少数派、でも意外に多い印象です。

ノンバイナリーは、LGBTQ、すなわちレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クイアまたはクエスチョニングのうちの最後の「Q」にふくまれています。
そもそも性自認、性指向はグラデーション、一人ひとりが画然と分類できるものではないから、議論のしかたによっては分類がかぎりなく増えてしまう。そうした議論のなかで「ノンバイナリー」はいちばん新しい概念のひとつでしょう。

LGBTQ活動家のザック・ボイヤーさんはいいます。
「ノンバイナリーということばが与えられることで、当事者は自分がそういう存在なのだ、ビューティフルで多様なコミュニティの一員なのだと思えるようになるんです」
ことばが与えられ、存在が与えられる。
この新しいことばが広がり、LGBTQはさらに増えるでしょう。アメリカでも日本でも。
なお、ノンバイナリーの人たちは英語の彼、彼女(he, she)の代わりに、彼ら(they/them)を使うんだそうです。どう使うんだろうか?
(2021年6月23日)