北海道にも緊急事態宣言が発令されました。
浦河町でもコロナの感染が増えています。
ひがし町診療所はいまのところ大丈夫ですが、スタッフの家族の関係先などに「陽性」や「濃厚接触」が出ていることがわかりました。
こうなったらもう、診療所も警戒レベルを上げざるを得ません。
17日、スタッフの緊急ミーティングが開かれました。
そこで決まったのは、精神科診療所として外来診療はつづけるが、感染リスクはできるだけ減らすことです。症状の安定している患者には当面、事情を説明して待合室で薬を処方するといった簡便な対処法がとられることになりました。

また精神科デイケアについては、一部縮小することになりました。
ミーティングや行事などの活動プログラムは今週は中止する、その代わりに、ワーカーや看護師がデイケア・メンバーの住居に出かけてゆく、ということです。グループホームに暮らすメンバーについては、デイケアに来なくてもすむよう、グループホームでの活動プログラムを組むこと、その支援にスタッフが出かけてゆくことなどが話しあわれました。
要するに、今週はみんな家で過ごそう、スタッフがそこに行って支援します、ということです。
1週間か2週間しのげばまた状況は変わるでしょう。

緊急ミーティングの冒頭、精神科医の川村敏明先生がみんなにかけていたことばが印象的でした。
こういう事態になって、多くの人が不安を抱えているだろう。ぼくらはその不安にどう向き合うか、そこを考えよう。地域のなかに困っている人はいないか、そのことに敏感になろう。
見つめるべきはコロナというよりは、それによって引き起こされる不安なのだ。
感染を防止するとか、診療所を守るというようなことだけではない。緊急事態があろうがなかろうが、ぼくらはこの地域で何をすればいいか、この診療所がどう動けば、多少ともそこにある不安を減らすことができるのか、そのことを考えようといっているのです。
いかにもひがし町診療所らしい、川村先生らしいことばだと思いながら聞きました。

対象的なのが、浦河の近くの町の広報です。その町ではきょう、「コロナの感染者が出ました。気をつけましょう」と、お知らせを防災無線で放送していたといいます。町中に大音量で響きわたる「危険の知らせ」。住民の不安をあおるだけではないかと診療所スタッフのひとりはいっていました。
(2021年5月17日)